肌や髪の毛のハリやうるおいを保つなど、美しさには欠かせない「女性ホルモン」。30代までは自然と分泌されますが、40代以降は徐々にその量が減少していきます。ただし、食生活が乱れたり過度なストレスがかかったりすると、30代以下の女性でも分泌されなくなることも…。
そこで、婦人科・エイジングケア専門「成城松村クリニック」の松村院長に、きちんと女性ホルモンを分泌させるための食生活について、年代別に気をつけるべきポイントを教えてもらいました。
「女性ホルモンには、『エストロゲン』と『プロゲステロン』の2種類があり、どちらも主に卵巣から分泌されています。これらが不足すると、肌の荒れや乾燥、髪のハリツヤがなくなるといった外見へ影響するほか、生理不順なども起こる可能性があります」
さらに、女性ホルモンは自律神経と密接な関係にあり、女性ホルモン分泌が乱れると自律神経の働きも乱れて、疲れや冷え、頭痛、肩こり、めまいなどの症状が起こることもあるのだとか。
「40代後半になると、ガクンと女性ホルモンが減り、自律神経が乱れやすくなるので要注意。ただし、30代以下の方でも、極端なダイエットをするなど不規則な生活が続けば、女性ホルモンや自律神経に大きく影響するので油断は禁物です」
それでは、女性ホルモンを分泌させるまめの理想的な食生活をご紹介しましょう。
「30代までは自力で女性ホルモンを分泌できます。とはいえ、その原材料となる『タンパク質』と『良質な脂質』は、しっかり摂取しなければなりません」
オススメの食材:肉や魚、卵、豆類など
「特に必須脂肪酸である『オメガ3系脂肪酸』が豊富な青魚(サバ・イワシ・サンマ・アジなど)は若い女性に不足しがちな食品。『オメガ3系脂肪酸』は、女性ホルモンの原材料になるだけでなく、悪玉コレステロール値を下げる、血液をサラサラにする、アレルギーを抑えるといった嬉しい効果もありますよ」
「40代以降になると卵巣もエイジングが進み、女性ホルモンが分泌されにくくなります。そのため、『イソフラボン』を積極的に摂取することを心がけてください」
オススメの食材:納豆や豆腐などの大豆製品
「なかでも納豆は、発酵で体内への吸収が良くなっていますよ。『イソフラボン』は、腸内細菌の働きによって『エクオール』という成分に変わり、女性ホルモン同様の効果を発揮します。残念ながら『エクオール』を体内で生成できるのは、日本人の約50%だといわれています…。しかし、体質にかかわらず『イソフラボン』を取り入れることで、女性ホルモン分泌の効果は期待できます」
松村先生によれば、全般的に“黒い食品”は生殖機能への効果が見込めるため、年代関係なく食事に取り入れるといいそう。
「東洋医学的なアプローチでは、黒い食品は“腎を強める”といわれており、生命のエネルギーや生殖機能を高めてくれます。つまり、子宮や卵巣の健康にも有効ですよ。たとえば、黒ゴマや黒豆、ブルーベリー、ナスには、『アントシアニン』と呼ばれるポリフェノールの一種が含まれ、抗酸化作用が得られます。そのほかにも、キクラゲやワカメ、黒酢も“黒い食品”の仲間です」
女性ホルモンを分泌させるには、特定の食品を積極的に取ることに加え、バランスよく栄養素を摂取するのも大切。とはいえ、現代人のライフスタイルでは、どうしても食事だけで摂りきれない栄養素があるのも事実なのだとか。
「まず、1日3食を自炊でまかなうのは、なかなか難しいですよね。また、自炊していたとしても、大型スーパーなどで市販されている食材はビタミンCなどの栄養素が、大きく損なわれているケースもあります。なかには昔と比べて10分の1程度にまで減ってしまうことも。鉄分やカルシウムといった特に女性に欠乏しがちな栄養素は、サプリメントで補うといいでしょう」
いつまでも美や健康を保つためには、自分自身の体としっかり向き合いながら、正しい食生活を送ることが必要不可欠ですね。今回の記事を参考に、美のもととなる「女性ホルモン」を食事からサポートしていきましょう。
広島大学医学部卒業、同産婦人科学教室入局。2010年、婦人科・エイジングケア専門の成城松村クリニックを開院。西洋医学の枠にとらわれず、漢方などの東洋医学や、点滴療法、オゾン療法などさまざまな領域を取り入れた女性のためのトータルサポートを行っている。
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