春が近づくと気になる、あのくしゃみや鼻水が…。花粉症になると、せっかくの春の陽気も憂うつな気分になりがちですよね。でもしっかりと対策をすれば、そこまでわずらわしい病気ではないそうです!
花粉症の症状や今からでも間に合う対処方法を、日本橋大河原クリニック理事長の大河原大次先生にお聞きしました。
「花粉によるアレルギー反応が『花粉症』。人の体はアレルギーの要因になる異物が入ると、くしゃみや鼻水によって、これらを外へ排除しようとします。でも、たくさんの異物(この場合は花粉)を取り込んでしまうと、この働きが過剰に反応して、排除する働きであるくしゃみや鼻水が激しくなってしまうのです」
誰にでも備わっている機能ですが、なかには花粉をいくら体内に取り込んでも発症しない人もいますよね。違いはあるのでしょうか?
「遺伝因子による影響がかなり大きいので、親兄弟が花粉症の方は発症しやすいです。また、都市部にお住まいの方も要注意。大気汚染がひどい都市部都会では、体が常に空気中から取り込まれる異物を排除しようと働いています。そこへさらに花粉が飛散するため、過剰反応が起こりやすくなるのです。さらに、街中は舗装されている道だらけなので、本来は土に埋もれたり川で流されたりする花粉が、ずっと空中を舞い続けられる環境でもあります」
春が近づいてくると鼻がムズムズして「今年はもう花粉が舞っている!」と過敏になることも…。しかしその症状、実は花粉症ではない場合もあるそうです。
「2月~4月頃はスギ、4月~5月頃にヒノキ花粉が飛散しますが、飛び始める時期は毎年ほぼ変わりません。スギ花粉なら毎年2月15日前後。それ以前から症状が出ているようなら、花粉以外の原因が考えられます」
暖冬の年だから花粉が早く飛ぶ、ということはないのですね! 大河原先生によれば、花粉症かどうかの見分け方は、ずばり鼻水にあるようです。
「花粉症はサラサラとした水のような鼻水が特徴です。黄色かったり粘り気があったりすれば別のアレルギーである可能性も。また、年末~2月頃は風邪も流行しています。自己判断で薬を選ぶと症状が治まらないこともあるので、まずは耳鼻科医で診断してもらうことをオススメします」
「悪化させないための大原則は『原因から遠ざかること』。とはいえ、外出を一切しないのは無理なので、花粉量が多いときはマスクやゴーグルで花粉を取り込まないようにしましょう。そのためには、毎日の花粉量をチェックしてください。花粉予報はあくまで予報なので、面倒でも必ず当日の花粉量を把握するのが大切です」
現在は日本気象協会のWebサイトなどで簡単に調べられるそうなので、お出かけ前にはぜひ確認を。
「あとは鼻と喉のケアです。この時期はすでに乾燥でダメージを受けているので、さらなる負担がかからないようにこまめな水分補給や、加湿器をつけて部屋の湿度を充分に保つなど、加湿を心がけましょう。また、ストレスも症状悪化の原因になります。なるべくリラックスすることを心がけてください」
花粉症を発症していない方も、未然に防ぐためには同様のケアが有効だそうです。花粉のピークを迎えても快適に過ごせるように、しっかり対策をしておきましょう!
1959年 東京生まれ。日本医科大学耳鼻咽喉科助手、伊勢崎市民病院耳鼻科医長、神尾記念副院長を務めた約20年間で教育・臨床・研究を行う。特に神尾記念病院では高度最新治療を実践。現在は耳鼻咽喉科日本橋大河原クリニック院長として、めりはりのある治療とインフォームドコンセントを重視。院内は様々なニーズに応えられるよう、最新の医療機器を完備している。