目覚めの一杯や、ランチ後にスイーツと一緒に…など、毎日飲む人も多いコーヒー。以前は「体に悪い」と言われることもありましたが、最近はさまざまな研究によって、美容にも健康にもよい点が分かってきたそうです。
コーヒーが持つ知られざるパワーについて、全日本コーヒー協会の西野さんにお話を伺いました。
「2015年に国立がん研究センターと東京大学のチームが、『コーヒーを1日3〜4杯飲む人の死亡リスクは、まったく飲まない人に比べ24%低い』との研究結果を発表しました」
これは、1990年代に10都府県に住んでいた40~69歳の約9万人を2011年まで追跡し、生活習慣と日本人の主な死因との関係を調べたもの。
「国立がん研究センターと東京大学のチームの研究結果によると、コーヒーに含まれるカフェインには血管の内側の状態を改善したり、気管支を拡張させたりする働きがあることが分かりました」
また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸には、糖の吸収を緩やかにしたり、血圧を低下させたりする作用が期待できるのだとか。
「クロロゲン酸はポリフェノールの一種。主にコーヒー豆に含まれていますが、抗酸化作用や脂肪の蓄積を抑えるなど、女性にうれしい働きがあることで知られています」と西野さんは言います。
神戸大学名誉教授の市橋正光氏をはじめとするグループの研究によると、クロロゲン酸を含むコーヒーを1日2杯以上飲む人は、紫外線による顔のシミが少なかったとの結果もあるそう。
「市橋正光先生たちのグループは、コーヒーを飲むと紫外線によるシミを予防できるとして、研究に取り組んでいらっしゃいます。その調査結果によると、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が、シミの原因となるメラニンの生成を抑えることがわかりました」
全日本コーヒー協会によると、コーヒー1杯(約140cc)に含まれるポリフェノールの量は約280mg。これは赤ワインと同程度、緑茶の約2倍に相当します。
西野さんによると「日本人はポリフェノールをコーヒーから一番多く摂っている」そう。ワインが飲めない人は、コーヒーからポリフェノールを摂ると効率がよいですね。
「そのほか、杏林大学医学部の古賀良彦教授らによる研究から、コーヒーの香りを嗅ぐと、脳にリラックス状態を表すα波が多く現れることも分かっています。コーヒーは香りも魅力のひとつですから、味とあわせて楽しんでいただきたいです」
最後に、コーヒーを飲むときの注意点を伺いました。
「コーヒーにはカフェインが含まれていますので、妊娠している方、母乳でお子様を育てている方はコーヒーを控えるか、カフェインレスコーヒーをおすすめします」
今後はシワの予防効果などの解明も期待されているコーヒー。美容と健康のために、上手にコーヒーを生活に取り入れたいですね!
1953年、任意団体として全日本珈琲協会発足。すぐに名称を「全日本コーヒー協会」と改める。1980年8月より、コーヒー消費の更なる拡大や、コーヒー業界の一層の発展と国民食生活の向上発展に寄与することを目的に、「社団法人 全日本コーヒー協会」を発足。コーヒーの飲用と健康への効果などをテーマとする研究の振興及び国内外の研究情報の収集、消費者が安心して飲めるコーヒーを供給するための対策などを行っている。
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