近年、チョコレートやココアが美容と健康にいい食材として注目されています。その秘密は、原料のカカオに含まれる「カカオポリフェノール」にあるようです。そこで、チョコレートとココアが体に与える効果について、日本チョコレート・ココア協会・事務局長代理の藤田康子さんに伺いました。
「チョコレートやココアの主原料であるカカオには、『カカオポリフェノール』や食物繊維、苦み成分『テオブロミン』などが含まれています。チョコレートやココアはこれまで嗜好品として愛されてきましたが、最近の研究で体にいいことがわかり、日本でも20年ほど前からその健康パワーが注目されるようになりました」
20年ほど前、ある情報番組をきっかけに健康意識の高い方たちの間でココアが大ブームになったことを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。具体的にどのような効果があるのでしょうか?
「カカオに含まれるカカオポリフェノールは、血流改善や動脈硬化の抑制、生活習慣病予防などの研究がされ、その成果が報告されています。また、食物繊維は便秘解消で知られており、『テオブロミン』には末端冷え症の改善効果があるとされています。そのほかにも、チョコレートやココア特有の香りによるリラックス効果が報告されています」
藤田さんによれば、実はチョコレートやココアは医療現場でも使われているのだとか。
「当協会のシンポジウムで、埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センターの間藤卓准教授が2014年に開催した当協会のシンポジウムにて論文を発表しました。それによると、外傷患者がチョコレートを摂取したことをきっかけに「難治性感染性創部(治りにくい傷)」が著しく改善したそうです。また、亜鉛や銅のミネラル補充として利用されている実例もあります」
臨床現場でのココア導入によって、看護師が患者の排便に気づきにくくなったなど、便臭低下効果や排便コントロールについても新しい発見がされているそうです。
確かにチョコレートやココアは健康や美容に有効ですね。では、摂取すべきチョコレートやココアのポイントはあるのでしょうか?
「『カカオポリフェノール』はカカオ分が高いほど多く含まれています。カカオ分70~75%の“ハイカカオチョコレート”がオススメです」と藤田さん。
「ココアには、ココアパウダーに砂糖や粉ミルクなどを加えた『調整ココア』と、ココアパウダー100%の『純ココア』の2種類があります。健康を意識するのであれば、ポリフェノールを多く含む『純ココア』を選びましょう。『純ココア』には砂糖が入っていないので、お好みの甘さに調整できますよ。最近は、ポリフェノールを多く含む『純ココア』も市販されています」
また、ココアはチョコレートに比べて脂質が少ないので、カロリーを気にする女性にも◎。
「厚生労働省・農林水産省が発表している『食事バランスガイド』には、『菓子・嗜好食品は一日に200キロカロリーを目安とする』とあります。板チョコレートだと約35グラムに相当します」
また、摂取の仕方にもポイントがあるのです。
「生活習慣病の改善などの健康効果を期待するなら、1日に約200~500ミリグラムのカカオポリフェノールを数回に分けて摂取するのがオススメです。ただし、チョコレートやココアには『テオブロミン』や少量の『カフェイン』が含まれているので、妊婦や小さなお子さんは摂取を控えましょう。とはいえ、チョコレート35グラムに含まれるカフェインの量は、レギュラーコーヒー1杯に含まれるカフェイン量の約10分の一程度です」
体へのメリットがたくさんあるチョコレートやココア。「甘いものが食べたいなぁ」と思ったときなど、積極的にカカオを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
日本のチョコレート・ココアの製造者の団体。チョコレート・ココアの普及・消費促進のための広報活動や、情報収集・調査および提供、チョコレート・ココア国際栄養シンポジウムなどを開催している。またチョコレート・ココアに関する国際問題にも取り組んでいる。
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