細菌やカビの温床に!? 「加湿器病」を防ぐ正しいケア&使い方

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ウレハダ編集部

細菌やカビの温床に!? 「加湿器病」を防ぐ正しいケア&使い方

冬の乾燥対策に、加湿器は必需品ですよね。しかし、加湿器を使ったことで、かえって病気にかかることがあるとか…。どうすれば予防できるのでしょうか? 池袋大谷クリニックの大谷義夫先生に聞いてみました。

水を継ぎ足すことでカビが生え、「加湿器肺」に

加湿器を使うとかかりやすい病気は、どのようなものなのでしょうか?

「汚れた加湿器の中には、カビや細菌がはびこっていて、それを吸い込むことでアレルギー性の肺炎である、“加湿器病”こと加湿器肺や喘息を引き起こします。多くの原因は、加湿器に残った水をもったいないからといって、そのまま注ぎ足していることです。常に水が入っている状態は、カビの温床になってしまいます」

加湿器肺にかかっても、早期なら、加湿器の使用を止めれば病気は治るそう。重症化したら、ステロイド治療が必要になることもあります。もし加湿器を使っていて2週間以上せきが長引くのであれば、それは風邪ではなく加湿器肺かもしれません。

どんな加湿器も、こまめな掃除を

では、加湿器肺を防ぐにはどんな加湿器を使えばいいのでしょうか? 加湿器は大きく分けて、超音波式・スチーム式・気化式・ハイブリッド式の4つのタイプに分かれます。大谷先生によれば、どんなタイプでも手入れを怠れば加湿器肺にかかるそうで、かかりやすい・かかりにくい型というのはないとのこと。ただし、最近は加湿器肺の対策として、UVを当ててバクテリアをカットするような高機能の製品も発売されているそうです。

加湿器肺を予防するには、正しいお手入れと使い方を心がけることが重要。具体的な方法を教えてもらいました。

「加湿器の方式にかかわらず、水を毎日入れ替えましょう。ミネラルウォーターではなく、水道水を使うのもポイント。水道水には塩素が入っていて、殺菌作用があるからです。フィルターなどの掃除方法は、メーカーごとに異なるので説明書をよく確認しましょう。また、きちんと掃除をしていたとしても、湿度設定を常に70%以上に保って加湿しすぎると、室内に結露ができてカビが生えやすくなります。特に、窓際や温度差があるところは結露しやすいので、加湿器を置く場所にも注意が必要です」

加湿器以外に、部屋の乾燥を防ぐ方法はない!?

使用注意点の多い加湿器に代わって、部屋の乾燥を防ぐ方法はないのでしょうか?

残念ながら、現時点で加湿器に代わる効果的な加湿方法はないと大谷先生は言います。たとえば、加湿器の代わりに濡れたタオルを干したとしても、どれだけ加湿するかがコントロールできないため、効果があるとは言い難いのだとか。

「加湿器は病気をもたらすこともありますが、使用法をきちんと守れば何も怖がることはありません。むしろ、インフルエンザの予防になるメリットのほうが大きいです」

手間でも加湿器の掃除をしっかりと行い、使用法を守って、病気に負けない環境づくりを心がけましょう!

取材協力:池袋大谷クリニック 大谷義夫先生

東京医科歯科大学 第一内科、呼吸器内科、睡眠制御学講座において、21年間にわたり、内科疾患・呼吸器疾患・アレルギー疾患・睡眠医療に従事してきた。著書に『長引くセキはカゼではない』(KADOKAWA/角川マガジンズ)などがある。

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