手足は冷たいのに上半身がほてる、体は冷えているのに少し動くと大汗をかく…。これは近年、女性の間で増えている「冷えのぼせ」の典型的な症状です。
「冷えのぼせ」は重度の冷え性のこと。体の特定の部分が冷えて症状に気付きやすい冷え性とは違い、「冷え」と「のぼせ」が混在しているため、自分では気付かないうちに進行していることが多いのだとか。そこで、女性を悩ませる「冷えのぼせ」について目黒西口クリニック院長・南雲久美子先生に伺いました。
「『冷えのぼせ』は体のどこかが冷え、どこかがのぼせている状態を指します。大きく2つのパターンがあり、一つは足首から足先など下半身は冷たいのに、頭や顔などの上半身が熱くほてっているケース。もう一つは、体の中心部が冷えているのに、表面はのぼせている状態です。特に後者は冷えの自覚がないため、知らず知らずのうちに進行していることが多く、注意が必要です」
南雲先生によれば、「冷えのぼせ」の症状はさまざま。運動や暑さで大汗をかいたり、手のひらや足の裏などにびっしょりと汗をかいたりするほか、むくむ、眠りが浅い、めまいや頭痛が起きるなど、冷えとはまったく関係ないような不調となって現れることもあるのだとか。
「のぼせやほてりといった『ホットフラッシュ』と呼ばれる更年期の症状によく似ていることから、20~30代の女性のなかには“プレ更年期”と勘違いしている人も少なくありません。しかし、東洋医学では、ほてりは冷えの代表的な症状の一つと考えられています。最近は子どもの『冷えのぼせ』も増えており、年齢を問わず誰にでも起こりえるものなんです」
気になった方は、下記の項目をチェックしてみましょう。
□ 手や足は冷えているが、上半身は冷えを感じない。頭が熱く、顔がほてる
□ 手のひらや足の裏などに汗をかきやすい
□ 運動をしたり、気温が高くなったりすると大量の汗をかく
□ むくみやすい
□ 頭痛やめまい、動悸に悩んでいる
□ 眠りが浅く、熟睡できない
□ 年々トイレが近くなり、夜中に目が覚めてしまう
一つでも当てはまったら、「冷えのぼせ」の可能性あり。また、「冷えのぼせ」は年代によって体に現れるサインが異なるそう。下記も併せてチェックしてみてください。
●20代
生理不順、生理痛、肌荒れ(シミ、そばかす、テカリ)、髪の毛が切れる・抜ける、ささくれ、二枚爪
●30代
20代の症状に加え、めまい、頭痛、耳なり、関節の腫れ、むくみ、大汗をかく
●40代以降
不眠、動悸、息切れ、トイレが近い、不安感
「若い頃は冷えていた体の末端が加齢とともにほてるようになり、子宮や膀胱など体の中心部分に冷えが集中します。トイレに行く回数が減ったり、逆にトイレが近くなったりするのは、体の中心の冷えがかなり進行している証拠ですよ」
次回は、「冷えのぼせ」の原因と対策をご紹介します。
1982年、杏林大学医学部卒。東京慈恵会医科大学第2内科入局、関東逓信病院(現NTT関東病院)消化器内科非常勤嘱託を経て、北里研究所附属東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。96年、東洋医学と西洋医学を融合して治療を行う目黒西口クリニックを開業。冷え性や自律神経失調症をライフワークとしている。著書に『冷え性・貧血・低血圧』など多数。
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