天然のアロマで美しく! お香の効能を学んで「医香同源」を始めよう

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ウレハダ編集部

天然のアロマで美しく! お香の効能を学んで「医香同源」を始めよう

古くから日本人の暮らしのなかで親しまれてきたお香。実は、その原料の多くが漢方薬としても使われています。

まずは、代表的なお香の原料について学んでいきましょう。解説してくれるのは、お香作りのスペシャリストである香司(こうし)の岡本英子さんです。

お香と生薬

「みなさんは、イライラしたときに好きな香りをかいでリラックスしたり、気分が落ち着いたりしたことはありませんか? 漢方には『医香同源(いこうどうげん)』という言葉があります。これは、香りは心と体のバランスを整えるなど、さまざまな働きを持っているという考え方です」

「お香の原料は、古くから私たちの健康と美容を支えてきた生薬としても用いられます。その代表的なものを、お香としての特徴と生薬としての効能という2つの側面から見てみましょう」

白檀

●白檀(びゃくだん)

別名「サンダルウッド」としても知られる、白檀科の半寄生常緑樹。お香に欠かせない原料の一つです。

<お香として>

爽やかさと甘さを兼ね備えた「白檀」は、仏像や扇子などの工芸品に加工されることが多い香木です。インドのマイソール地方で採れた「老山白檀(ろうざんびゃくだん)」が最も上質とされています。そのほか、インドネシアの「新山白檀(しんざんびゃくだん)」などがあります。

<生薬として>

心を癒やしてくれるため、ストレスや不眠気味の方、肌の炎症が気になる方にオススメ。胃腸を温め、痛みを和らげる作用も期待できます。水分代謝の改善も。

丁子

●丁子(ちょうじ)

「クローブ」と呼ばれる、フトモモ科の丁子の木の蕾を乾燥させたもの。釘のような形が特徴です。古くから殺菌や消毒薬として用いられ、スパイスや香料としても重宝されています。

<お香として>

古くから使われている、お香に欠かせない原料の一つ。常温ではツンとした酸味のある香りですが、熱を加えると成分の一部であるバニリンの甘い香りが出てきます。バニリンとは、バニラの香りの主要成分です。

<生薬として>

おなかを温めて消化を促します。また鎮痛作用や麻酔作用もあるため、冷えによる痛みを緩和したり、歯痛止めたりする効果も期待できます。口臭予防にも◎。

桂皮

●桂皮(けいひ)

「シナモン」や「カシア」の名称で、香辛料として広く使用されています。カプチーノやシナモンロール、八つ橋などにも使われているので、なじみがあるのではないでしょうか。

<お香として>

ピリッとした辛味と甘味を含んでいるのが特徴。お香では主に辛味系の香りとして使いますが、甘い香り作りのアクセントにもなります。

<生薬として>

古くから中国では薬物の王として扱われています。 体を温め、冷えからくる痛みを和らげます。胃腸を温めて消化機能を高めるので、健胃薬として用いられています。

大茴香

●大茴香(だいういきょう)

「八角」や「スターアニス」とも呼ばれ、中華料理やカレーなどのスパイスとして親しまれています。シキミ科の常緑樹の実を乾燥させたものです。

<お香として>

柑橘を思わせる清涼感のあるフルーティでスッキリとした香り。主に匂い袋の調合に使われます。

<生薬として>

おなかを温めて胃腸の働きを良くし、血行を良くします。また、痛み止めの働きも。実はインフルエンザ治療薬の「タミフル」の原料でもあります。

漢方とは、漢方薬を飲むことだけではありません。お好きな香りのお香を取り入れて「医香同源」を実践し、心身ともに健康的に美しくなってみませんか?

取材協力:薫物屋香楽認定 香司 岡本英子さん

大学在学中に「香水」をテーマに香りについて研究。その後「Air Aroma Japan」のブランドマネージャーとして、ホテルや商業施設などの香りの演出やPR、アロマ講座講師などを担当。2015年より、「薫物屋香楽(たきものやからく)」認定の香司として活動を開始。お香の専門家として、お香づくりのワークショップなどを開催している。「継未-TUGUMI-香塾」講師。漢方養生指導士初級。

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