「漢方薬は上手に使えば効果が高く、体にやさしい薬」という知識はあっても、数えきれないほどの種類があり、難しい名前がついているので、どう生活に取り入れたらいいかがわからないことも。とくに多くの女性が悩む「肩こり・冷え性・生理痛」は、一般的な薬では効果が薄かったり、副作用が気になったりすることも多いので、漢方薬で解消できたら嬉しいですよね。
今回は、400種類以上の漢方薬を扱う医療法人聖光園細野診療所の細野孝郎院長に、「肩こり・冷え性・生理痛」に効果的な、漢方薬の代表的な種類と服用方法を教えてもらいました。
目次
「漢方薬とは、漢方医学理論に基づいた複数の生薬の組み合わせによってできたものです。生薬というのは、植物の根・葉・皮・果実・種や、動物や鉱物などをそのまま、もしくは加工したものを指します。生薬の組み合わせは、長年の経験からもっとも効果が高い配合比率が決まっており、一般的な薬よりも副作用が少ないと言われています」
眠くなるなどの副作用を気にせずに済むのは、うれしいポイントですね!
肩こりには、主に血流と気(エネルギー)の流れの改善に作用する漢方薬が、高い効果を発揮するのだとか。よく使われる代表的な漢方薬は、以下の通りだそう。
●葛根湯(かっこんとう)系の処方
●加味逍遥散(かみしょうようさん)
●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
「肩こりと一言で言っても、肩周辺の筋肉の使い過ぎによって筋肉が凝り固まった人もいれば、ストレスによる緊張状態が続いたことで首や肩が張ってしまったという人もいます。専門医に相談し、さまざまな要因を考慮したうえでこれらの漢方薬を組み合わせて処方してもらえば、肩こりの改善が見込めるでしょう」
「冷え性や生理痛には、血の巡りを良くしてホルモンバランスを整えるという、いわゆる婦人科系の漢方薬がメインで処方されています」と細野院長。代表的な漢方薬は、以下の種類だそうです。
●四物湯(しもつとう)系の処方
また、冷え症に関しては、冷えている場所が手足の末端なのか、おなかなのかによっても、処方される漢方薬は変わってくるのだとか。
<手足の末端の冷え>
●麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
●当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
<おなかの冷え>
●人参湯(にんじんとう)
●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
こちらも詳しい症状を専門医に相談することで、それぞれの漢方薬の配合を調整して処方してくれるそうです。
「漢方薬の種類は、主に顆粒と煎じ薬の2種類。顆粒は、ぬるま湯と一 緒に服用します。煎じ薬は、やかんもしくは鍋に水とともに漢方薬を入れて30分ほど煎じ、熱いうちに茶こし等でこして服用してください。どちらも、基本的に食前もしくは食間に、医師または薬剤師の指示通りの回数を服用しましょう」
今回は代表的な漢方の種類を挙げていただきましたが、漢方薬の処方は、体質や症状の度合で大きく変わるとのこと。十分な効果を実感するためには、漢方薬の専門医を受診することをオススメします。
昭和63年北里大学医学部卒。日本東洋医学会認定医・日本臨床抗老化医学会名誉認定医。川崎市立井田病院、藤枝市立志太病院、北里大学病院などを経て現在に至る。北里大学病院では、膠原病・リウマチ・アレルギー外来を経て、漢方外来設立に尽力、担当。1992年より聖光園細野診療所診療を開始。得意分野は内科系疾患全般、月経困難症や不妊などの婦人科疾患、皮膚疾患。また、体質改善や健康維持など、いわゆる抗老化・若返りの漢方にも力を入れている。
公式サイト