近年、ドラッグストアなどで「ノンシリコンシャンプー」の文字を見かけることが多くなりました。そのためか「シリコンは髪に良くない」との認識が高まっているように思いますが、一部の美容師からは「シリコンが害であるとは一概に言えない」との声もあるようです。そう言われると、そもそもシリコンとは何なのか、どんなメリットがあるのか、よく理解できていないかも…。
そこで、南青山の美容院「CLARICA & STRAMA(クラリカ アンド ストラマ)」のトップデザイナー・高橋唯子さんに、シリコンの効能を含めて教えてもらいました。
「シリコンは、ヘアケア製品だけでなく化粧品などにも広く配合されている人工的な成分です。シャンプーに含まれるシリコンは、髪の表面のキューティクルに付着して、コーティングする役割があります。それにより、髪にツヤが出たり、ツルツルの手触りになったりと、うれしい効果があるんです(※)」
そのため美容師たちは、基本的に「シリコンは髪へのメリットが多い成分」という認識を持っているようです。
「あえてデメリットを挙げるなら、すすぎが十分にされていないと髪に付着したシリコンが残ってしまい、パーマ剤やカラー剤が髪に入りづらくなったり、髪がベタつく原因になったりしてしまうことです。すすぎの時間を十分に取ることが必要ですよ」
※シリコンの効果は、肌質や髪質により個人差があります。
シリコンは大きく分類すると、シリコンオイル、水溶性シリコン、揮発性シリコンの3つがあるそう。その3つはそれぞれ、細かな種類に分けられます。代表的な種類と特徴は、以下の通り。
●シリコンオイル:撥水性や潤滑性に優れており、髪をしっかりコーティングする
(成分例:ジメチコン、メチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン)
●揮発性シリコン:揮発性(常温で液体が気体になる性質)があり、軽い使用感。分子量が非常に小さく、髪への吸着がほとんどない。溶解性は、シリコンオイルより優れている
(成分例:シクロメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン)
●水溶性シリコン:シリコンに界面活性剤を結合させて、水に溶けるようにしたもの。髪にツヤが出て、しっとりした感触に
(成分例:.ジメチコンコポリオール、セチルジメチコンコポリオール)
「一般的に、安価なシャンプーにはシリコンオイルが、上質なシャンプーには水溶性シリコンが使われている場合が多いです。揮発性や水溶性のシリコンであれば髪に残る心配がほとんどないため、デメリットはないと考えてもいいでしょう」
メリットが多いことはわかったものの、シリコンが合わない人もいるそう…。
「シリコン入りのシャンプーを避けたほうがいいのは、もともと頭皮に油分が多くベタつきやすい肌質の方。また、妊娠中など、ホルモンバランスの崩れによる頭皮のベタつきが気になる方も同様です。シリコンが肌に合うか合わないかは、ノンシリコンシャンプーとシリコン入りのシャンプーを何種類か使ってみて、髪や頭皮の違いを確かめるとわかりやすいですよ。使いはじめて1週間ほどで差が出てくるはずなので、見た目や手触りを比べてみましょう」
なんとなく「シリコンは髪に良くない」とのイメージを持っていた方も多いかもしれませんが、髪質によっては、むしろ美髪になれることもあるんですね。自分に合うシャンプー選びの参考にしてみましょう。
国際文化理容美容専門学校卒業。意識の高いヘアデザインを生み出し、女性のかわいらしさを見つけるのが得意。ヘアケアチームリーダーとして、豊富な知識量と的確な診断により、お客様からも高い支持を得ている。