タバコを止めると太るってホント? 医師に聞いた喫煙による体型への影響と太らないコツ

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ウレハダ編集部

タバコを止めると太るってホント? 医師に聞いた喫煙による体型への影響と太らないコツ

タバコを吸うと、肺をはじめとする体内はもちろん、肌にも悪影響を及ぼすと言われています。それらの弊害を考慮して、禁煙を決意する人も多いでしょう。しかし、よく聞かれるのが「禁煙すると太る」というお悩み。実際、禁煙したことで、体重が2~3キロ増加した事例は少なくないようです。

そこで、「禁煙による体や精神への影響と太らないためのコツ」を、芝浦スリーワンクリニックにて禁煙外来を担当されている、医師の杉田知妹先生に教えてもらいました。

禁煙すると、体や精神にどんな変化が起こるの?

タバコには、中毒性の高い「ニコチン」が含まれています。このニコチンが脳に到達して受容体と結合すると、快感物質のドーパミンが分泌され、「もっと吸いたい!」という衝動にかられてしまうようです。でも、ニコチンによる影響はそれだけにとどまらないそう。

「ニコチンには、交感神経を興奮させる働きもあります。この作用により食欲が抑制され、代謝が高まって、一時的に痩せることがあるんです。しかし常にこの状態にあると、筋肉が痩せおとろえ、基礎代謝が落ちていき、結果的に内臓脂肪型の肥満になりやすくなります」

喫煙によって一時的に痩せたように見えても、実は不健康な体になってしまうんですね。では禁煙すると、どんな変化が現れるのでしょうか?

「禁煙すると味覚が改善し、自然と喫煙前の食生活に戻るため、なかには太ってしまう人がいます。ですが、太ったことばかり気にするのではなく、健康的な食生活に改善されたのだと考えたほうがよいでしょう。女性にとって気になる肌の状態も、禁煙すると血液がきれいなるため、血色がよくなって肌荒れも改善します」

禁煙初期はニコチンの禁断症状で、どうしてもイライラすることはあるそう。

「禁断症状を抑えるために、またニコチンを摂取するのは本末転倒。ニコチンの身体的依存は3~5日で消えると覚えておきましょう。たった3~5日だけ我慢できれば、イライラは落ち着くはずです」

禁煙してもプロポーションを維持するためのコツ

おいしい食事を健康的に楽しみたい一方で、喫煙中と比べて太ってしまうのは避けたいですよね。杉田先生いわく、「禁煙によって太る」というネガティブな固定概念を捨て、前向きに取り組むことが大切だそう。

「禁煙初期の身体的な禁断症状は前述の通り長くても5日程度。その後は精神的依存、すなわち『口寂しさ』が襲ってきます。口寂しさを紛らわすために、ついつい甘いものを摂ってしまうことが、太る原因のひとつなのです」

とはいえ、過剰な食事制限はストレスが増して逆効果。オススメの方法とは?

「口寂しくなったら、ノンシュガーのガムや飴、つまみやすい干し昆布など、ローカロリーのものを選ぶといいですね。また、禁煙したことで呼吸が楽になり、咳や痰もなくなるため、以前よりも楽に体を動かせるようになります。スポーツジムに通ったり、ランニングをしたりするのもオススメ。通勤途中に喫煙所に立ち寄っていた時間を使って、隣の駅までウォーキングしてもいいでしょう。喫煙者は非喫煙者よりも骨密度が低くなっているため、運動は骨折予防にもなって一石二鳥ですよ」

無理なく禁煙したい方はクリニックを活用してみて

禁煙を決意してもニコチンの依存に負けて、どうしても吸ってしまったり、吸わないことでストレスが溜まり暴飲暴食してしまったり……そんなお悩みを持つ方には、禁煙外来のあるクリニックを活用するのもひとつの手段だとか。

「これまでに禁煙に失敗した経験があるなど、すんなりやめられる自信がない方は、ぜひクリニックを利用してみてください。無理なく禁煙するための補助薬として、ニコチンガムやニコチンパッチ、バレニクリンの3種類が用意されています。また、カウンセリングで精神面から禁煙をお手伝いすることもありますよ」

クリニックは、禁煙できないお悩みを持つ人にとって、心強い味方なんですね。禁煙で太ることを気にしすぎるより、健康になることを喜びたいです。そうすれば美容面でもメリットが多く、体重増加しすぎることはないはず! 明るい心で取り組んでみてください。

取材協力:医師・医学博士 杉田知妹(ちせ)さん

東京女子医科大学卒業後、同大学附属病院第1内科に入局。呼吸器内科医として同院の他、都立多摩老人医療センター、国立病院機構東京病院などで研鑽を積む。現在は東京都保健医療公社大久保病院で呼吸器内科医として勤務する傍ら、水曜日午前には芝浦スリーワンクリニックで禁煙外来を含む外来診療を行っている。専門は呼吸器疾患全般、真菌感染症など。

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