肌荒れと言っても、様々な症状があります。
肌に不調を感じる方は、まずは鏡を使って下記のような症状が出ていないか確認してみましょう。
「赤み」とは肌の表面が赤い色ムラがある状態です。
赤みが起きる要因としては肌に炎症が起きていることが挙げられます。
赤みの原因となる炎症は肌を守るバリア機能が低下し、外部からの刺激に敏感になることで引き起こされます。
また寒い季節では、屋外などの寒い場所から、室内の暖かい場所に移動した際に、血管が拡張することで赤みが起きる場合もありますので、赤み=肌荒れと誤認しないように気をつけましょう。
我慢できないようなかゆみを感じたり、湿疹ができてしまうのは肌のバリア機能が低下している可能性があります。
その他にも、かゆみや湿疹は食品アレルギーや洗剤などの化学物質が肌に触れることによっても起こることがあります。
化粧品がヒリヒリと肌にしみたり、髪の毛などのちょっとした刺激でかゆみを感じる時は要注意です。
かゆいからといって肌を掻きむしってしまうと肌が荒れ、さらに炎症やかゆみ、湿疹を引き起こすという悪循環に陥ってしまいます。
実はニキビには、10代によく発生する「思春期ニキビ」と20代以降の大人になってから発生する「大人ニキビ」の2種類があると言われています。
思春期ニキビはホルモンバランスの乱れにより皮脂が過剰に分泌されることで、毛穴に皮脂が詰まることが主な原因となり主にTゾーンに発生します。
大人ニキビは乾燥などによって、バリア機能が低下した肌が、自らを守るために角層を厚くすることが原因となります。
角層が厚くなることで、古い角層が剥がれ落ちずに毛穴に皮脂や古い角質が詰まり、吹き出物ができてしまうのです。
大人ニキビはフェイスラインやアゴ、首などのUゾーンにできるのが特徴です。
大人ニキビに関して詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
肌荒れの症状として、赤みやかゆみ、ニキビなどがあることをお伝えしました。
これら肌荒れの根本的な原因の1つは肌のバリア機能の低下です。
そもそも肌の角層という部分がバリア機能を主に担っています。
角層は約20層の水と細胞間脂質の繰り返しの層になっているため、肌の潤いを保ち、外部の刺激から肌を守ることができます。
さらに角層の上には皮脂膜もあり、この皮脂膜もさらに肌の潤いを保ち、バリア機能の役割を果たしています。
そのため、バリア機能が低下することで、外部からの刺激に敏感になり、肌荒れが起きやすくなってしまうのです。
肌荒れを防ぐためには、肌のバリア機能を保つことがポイントとなります。
それでは以下でバリア機能を低下させる代表的なものについて詳しくご紹介します。
紫外線は日焼けをおこすだけでなく、肌のバリア機能を低下させます。
なぜならば、肌のバリア機能は角層と皮脂膜が主に担っていますが、紫外線を浴びると皮脂が酸化してしまいバリア機能が低下するからです。
地上に届く紫外線にはUV-AとUV-Bがあり、どちらも肌にダメージを与え、肌のバリア機能を低下させます。
UV-Aは波長が長く、雲や家の中・車の窓ガラスも透過して肌にも到達するため「生活紫外線」とも呼ばれます。
UV-Bは波長が短く、主に屋外にいるときに肌に到達するため「レジャー紫外線」とも呼ばれます。
肌のバリア機能が低下し、乾燥した肌は肌荒れが起きやすい状態なので、紫外線対策は季節を問わずしっかりと行いましょう。
生活習慣の乱れもバリア機能が低下する原因となることがあります。
睡眠不足や運動不足などの生活習慣の乱れは、肌のターンオーバー(生まれ変わり)の周期を乱し、肌のバリア機能を低下させる原因となるからです。
通常肌のターンオーバーは短い人で約4週間で行われていると言われていますが、生活習慣の乱れなどにより、ターンオーバーが乱れてしまうと、古い角質が積み重なってしまいます。
古い角質が積み重なった肌は、まとまって剥がれたりひびわれたりしてしまうと、バリア機能が低下し、肌荒れが起きてしまいます。
ターンオーバーの周期を乱れさせる要因としては以下が挙げられます。
こちらが3つ以上当てはまる方は危険信号です。
過度な飲酒とは個人差もありますが、一般的な女性であれば1日ビール250ml程度(中びん1/2本)、ワインであれば100ml程度と言われています。
1度自身の生活を振り返って、生活習慣が乱れていると感じる方は、この機会に規則正しい生活を送るように心がけてください。
大気汚染や花粉なども肌荒れの原因となります。
ホコリや黄砂、花粉などが毛穴や角層のすき間に入り込むことで、肌への刺激となりバリア機能を低下させるので肌荒れを招くからです。
また花粉症の方が肌に痒みを感じ、擦ることも肌への刺激となり肌のバリア機能の低下肌荒れに繋がることがあります。
以下に当てはまる方は、知らず知らずのうちにスキンケアが肌のバリア機能を低下させる原因となっている可能性があります。
1つでも当てはまる方はこれを機会に自身のスキンケアを見直してみましょう。
肌荒れの原因はさまざまであることをお伝えしましたが、共通して大切なことは「肌のバリア機能を低下させないこと」であることがお分かり頂けたかと思います。
以下で肌のバリア機能を保つためのポイント5つご紹介します。
肌のバリア機能を低下させないポイントの1つめは、紫外線対策です。
強い日差しがなく、ジリジリとした熱を感じなくても、紫外線は地表に届いています。
また、紫外線は地面や建物を反射しますので、体全体に日焼け止めを塗ることによって紫外線のケアが必要です。
さらに曇りの日は紫外線が雲に乱反射することで、晴れの日よりも紫外線が多く観測されることもあるので、日焼け止めは塗り忘れないようにしましょう。
ただし、日焼け止めをしっかりと塗ったからと言って、紫外線を100%防げる訳ではありません。
紫外線対策は以下のことも心がけると良いでしょう。
紫外線対策に関してより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
肌のバリア機能を低下させないポイントの2つめは栄養バランスの取れた食事です。
栄養バランスの偏りは、肌荒れに直結します。
糖質や脂質を多く摂取していると皮脂の過剰分泌の原因になり、肌荒れを引き起こしてしまいます。
理想的な栄養バランスについては、厚生労働省と農林水産省の合同で策定された「食事バランスガイド」を参考にしましょう。
食事バランスガイドでは、食事を5つに分類した上で、コマの上から順番に食べる量の目安を示しています。
今までの食生活をいっきに変えることは、難しいかも知れませんが、少しづつ理想的な栄養バランスを摂れるように意識してくださいね。
※食事バランスガイドは、健康な方々の健康づくりを目的に作られたものです。糖尿病、高血圧などの病院で医師又は管理栄養士から食事指導を受けている方は、その指導に従ってください。
肌のバリア機能を低下させないポイントの3つめは運動です。
運動により代謝が上がることで、肌のターンーバーを促すことができます。
適切なターンオーバーは肌のバリア機能を維持するためには欠かせません。
なかなか時間が取れないという方は、息が弾み、汗ばむ程度の運動を週に1回は行うようにしてください。
通勤・通学、買い物などで、大きく手足を振って早歩きをするだけでも良いです。
肌のバリア機能を低下させないポイントの4つめは、量と質が伴った睡眠です。
なぜならば、肌のターンオーバーは睡眠中に活性化されます。
肌のターンオーバーを活性化させることによって肌のバリア機能を維持することができます。
厚生労働省によると、個人差はあるものの、最低でも6時間〜8時間の睡眠が必要だとする見解を示しています。
もちろん必要な睡眠時間は人それぞれなので、自身の肌のコンディションや、日中の眠気などから、自分に合った睡眠時間をまずは把握しましょう。
また就寝時間を一定に保つことも大切です。
就寝時間が不規則だと、体内時計が乱れるため、成長ホルモンの分泌に影響を及ぼします。
夜更かしは避けて、なるべく一定の時間に寝るように心がけましょう。
また、睡眠は量だけでなく質にもこだわりたいところです。
成長ホルモンは、眠り始めから約3時間以内のノンレム睡眠の間にたくさん作られることが知られています。
どうしても眠る時間が遅かったり不規則になったりしてしまう方は、寝始めの3時間はしっかりと熟睡できるような生活パターンを身につけましょう。
睡眠と肌の関係に関して、詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
肌のバリア機能を低下させないポイントの5つめは肌に優しいスキンケアです。
スキンケアは「肌をゴシゴシと擦らない」「肌にたっぷり潤いを与える」ことの2つを心がけましょう。
クレンジングや洗顔などは自分が思っている以上に、肌をゴシゴシと触っていることが多いもの。
スキンケアの際は、お豆腐を扱うように触ってください。
洗顔は、洗顔料をしっかりと泡立てて、泡を転がすように行うと、肌に優しいスキンケアができます。
洗顔料を泡立てきらずに洗いはじめたり、ゴシゴシこすったりするのは肌への刺激となるため控えましょう。
洗顔時の摩擦は肌荒れを招く一番の原因になります。
また、化粧品を洗い流す時は、お湯は角質から保湿成分を取り去ってしまうため、ぬるま湯ですすぐことも大切です。
正しい洗顔の方法に関して、詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
洗顔や入浴後は、角層から潤いが逃げやすい状態なので、すみやかに保湿しましょう。
化粧水で肌にうるおいを与え、乳液でうるおいを持続させます。
コツは、化粧水や乳液を優しく肌になじませること。
スキンケア用品を肌になじませないと、せっかく肌にいい成分も十分に効果を発揮できません。
美容液なども、優しくしっかりと肌になじませてから次のお手入れアイテムに進みましょう。
また保湿に関して、詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
ここまで肌荒れの原因や対策についてお伝えしましたが、最近では漢方に注目する人も増えているようです。
漢方では「皮膚は内臓の鏡」と言われ、肌荒れと体内の状態は深く関わっていると考えます。
そのため、例えばニキビができた時にただニキビだけをみるのではなく、ニキビができた根本的な原因を探り当てます。
もし、ニキビの原因が血行不良なら血行を良くしたり、ニキビが化膿してしまった場合には、免疫力を高めて化膿しずらい体質に変える薬を処方したりします。
このように漢方では、肌荒れという表面的な症状をみるのではなく、肌荒れの根本的な課題の解決を目指します。
漢方というと難しく聞こえますが、何も特別なことではなく、「誰もが持っている人間の力を高めて元気になる」「肌が本来持っている力を活かす」という、自然とともに生きる日本人の知恵とも言えます。
また先ほどお伝えしたような、肌荒れを防ぐための生活習慣のことを漢方では養生といい、症状の改善を助けます。
これからは、肌荒れができてしまった時には、漢方の視点も取り入れて見てはいかがでしょうか?
漢方に関して、詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
いかがでしたでしょうか。
肌荒れの原因や予防方法について、余すことなくお伝えしました。
肌荒れが起こりづらい状態を目指すために最も大切なことは、肌のバリア機能をすこやかに保つことです。
これを機会に肌をいたわる生活を心がけてみてはいかがでしょうか。
2006年、再春館製薬所に入社。化粧品の効果評価試験、スキンケア研究に7年間従事した後、「ドモホルンリンクル」の商品開発の担当へ。お客様と同年代であり、二児の娘の母である視点と価値観を重視し、生涯ずっと安心して使い続けられる、効果実感の高い商品開発を目指し日々研究を重ねている。