結婚式へのお呼ばれにも慣れてくる30~40代のウレハダ世代。今まではドレスで参加してきたけれど、披露宴の会場で見かける着物をしっとりと着こなした女性を見て、「着物にも挑戦してみたいな」と思うこともあるのでは?
今回は、結婚式の披露宴やフォーマルな場に着ていくための着物の選び方を、ハクビ京都きもの学院の総院長・大塚純子先生に教えてもらいました。
興味があっても、なかなか袖を通す機会のない着物。披露宴などの改まった場に着ていくときには、どんなことに気をつけて選べばいいのでしょうか?
「着物には、着ていく場所の『格』に合わせた種類を選ぶという考え方があります。披露宴の会場がホテルや神社などであれば、『訪問着』や『付け下げ』といった着物自体の格調が高い種類を選ぶといいですね。出席者のほとんどがお友だちというような食事会であれば、カジュアルな街着の『小紋』でもいいのではないでしょうか」
フォーマル度に合わせて、以下の代表的な着物の種類が選ばれるそうです。
度合 | 代表的な着物の種類 |
---|---|
フォーマル | 黒留袖・色留袖(ミセスの場合)、振袖(ミスの場合) |
↓ | 訪問着、付け下げ |
↓ | 江戸小紋 |
↓ | 小紋、紬 |
カジュアル | 木綿、ウール、浴衣 |
「結婚式に招かれた場合は、絶対に花嫁さんより目立ってはいけません。そして、親族の方々は『留袖』をお召しでしょうから、それと同等以上の格調の着物は避ける必要があります。慣れていないうちは少し難しく感じるかもしれませんが、『ゲストは花嫁さんとかぶってしまう白いドレスや豪華すぎるドレスは着ない』という、みなさんが自然に気をつけているのと同じマナーです」
大塚さんによれば、ドレスと同様に「白無垢」とかぶる白の着物はNG。さらに、新郎新婦のご両親が黒留袖を着ることが多いので、黒ベースも避けたほうがよさそう。
「未婚の女性であれば何歳になっても振袖は着られるものですが、本来は若い女性の第一礼装であるため、ゲストとして着るには目立ちすぎてしまうかもしれません。30代になったら、少し控えめな大人の着物に切り替えるとよいでしょう。初めて着物を買うのであれば、自分の顔映りがいい、好きな色を地色に使った『訪問着』を一枚あつらえるのがオススメです」
訪問着が一枚あると、ホテルを会場にして行われるパーティーやお茶会、お子さんの入園式・卒園式、歌舞伎などのドレスコードが設けられた場所にも、問題なく着ていけるそう。
「帯を選ぶときは、着物に合わせた柄を選ぶことがポイント。たとえば、着物も帯も日本古来の扇や御所車(ごしょぐるま)、鶴といった縁起のいい柄で統一すると、お祝いの場にぴったりです。披露宴に着ていくなら、金糸や銀糸を使っている袋帯(ふくろおび)がよいでしょう」
次にお呼ばれする結婚式にはいつものドレスではなく、エレガントな着物で出席してみませんか?
関東を中心とした16校600名の講師陣のリーダーとして後継者を育成。また、きもの教育の普及にも幅広く活躍。特定非営利活動法人(NPO)和装教育国民推進会議で中学校での和装教育支援、王朝装束の着装技術・知識の継承にも尽力している。
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