病院に行くほどではないけれど、体がだるいし頭が重い。それは自律神経の乱れによる症状かもしれません。放っておくと日常生活に支障をきたすような重い症状になることもある、と聞いたことがありますが…。
「男性と比べて、女性は自律神経を乱しやすい傾向があります」と話すのは、婦人科・エイジングケア専門の成城松村クリニック院長・松村圭子先生。自律神経の乱れを整える方法を聞いてきました。
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「自律神経とは、内臓の働きなど自分の意思ではコントロールできない部分を司る神経です。暑くなると汗をかいて体温を下げたり、内臓機能を調整したりして、健康状態を保つ働きをしています」
自律神経は体を活発に動かす交感神経と、体を休ませてリラックスさせる副交感神経の2つから成り立っています。この交感神経と副交感神経のバランスの崩れが、自律神経の乱れといわれるものだそう。
「自律神経はホルモンバランスと密接に関係しています。女性は月経周期のなかでホルモンの分泌量が変動しやすい分、男性より自律神経を乱しやすいのです」
「自律神経が正常に働かなくなると、理由もなく頭痛がしたり体がだるくなったりと、いわゆる『不定愁訴(ふていしゅうそ)』と呼ばれる原因不明の不調が表れます。血流が悪くなって冷え性になるほか、肩こりや腰痛、便秘などに悩まされる方も多いです」
自律神経の乱れによる症状はさまざまで、このような代表的な症状のほかにも、胃炎や耳鳴りが起こる方もいるそう。これらの症状が悪化しないように、普段から自律神経のバランスを整えたいところです。
「自律神経の大敵は不規則な生活とストレス。自律神経の乱れを防ぐには、『生活リズム』『睡眠』『食事』の3つを整えることがポイントになります」
自律神経を整えるために理想的な「生活リズム」とは、どんなものでしょうか?
「一日の中でオンとオフを意識しながら生活をしてください。朝起きたら日光を浴びて食事を摂り、『目が覚めた』と体に感じさせること。そして、夕方以降はリラックスすることを心がけましょう。仕事中にもこまめに休憩を取って、メリハリをつけることが大切です」
とはいえ、仕事内容は人それぞれ。不規則な仕事をしている場合は、どうすればいいのでしょうか?
「深夜まで仕事をしている方は就寝時間も遅く、朝日を浴びるのが難しいと思いますが、重要なのは、生活リズムを一定に保つこと。そのような場合は、毎日決まった時間に起きることを心がけてください。ちなみに、休日に寝だめをすると体内時計が狂って生活リズムが乱れてしまうので、オススメできません」
「睡眠は体を修復する大切な時間。目覚めても体がだるいと感じるのは、良質な睡眠が取れていない証拠です。質のよい睡眠を取るには、ゆっくりとぬるめの湯船に浸かりましょう。熱すぎると交感神経が作用して体が覚醒してしまい、寝つきづらくなってしまいます」
松村先生によれば、お風呂場の明かりはなるべく落としたほうがいいそう。キャンドル1個分くらいの明かりでOK。
「体温が下がるとともに眠気を感じるようになるので、就寝1~2時間前の入浴で体温を少し上げておくのがポイントです。また、寝室の明かりもなるべく落とし、スマホやパソコンの光も避けましょう。カフェインの含まれるお茶やコーヒーも夕方以降に飲むと良質な睡眠の妨げになります」
一般的に、人間の睡眠周期は90分でワンサイクルと考えられているとか。個人差はありますが、睡眠時間は1日6時間または7.5時間くらいがよいそうです。
「別名『幸せホルモン』とも呼ばれる神経伝達物質・セロトニンは、心の安定を保ち、自律神経を整えるのに効果的。その材料となるトリプトファンとビタミンB6は、肉やカツオ、大豆などに多く含まれています」
これらの栄養素が含まれる食べ物を、朝昼夜とこまめに摂取するのがよいのだとか。特に朝食は、一日の始めに体のエンジンをかけるエネルギー源。積極的に摂取するのがオススメだそうです。
「自律神経を整えるのはそんなに難しいことではありません」と松村先生。普段の生活習慣を見直せば、すぐに改善できることばかり。さっそく健康な心と体づくりを始めましょう!
広島大学医学部卒業、同産婦人科学教室入局。2010年、婦人科・エイジングケア専門の成城松村クリニックを開院。西洋医学の枠にとらわれず、漢方などの東洋医学や、点滴療法、オゾン療法などさまざまな領域を取り入れた女性のためのトータルサポートを行っている。
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