みなさんは「風呂敷」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか? 雑誌やテレビなどで特集が組まれることも多く、おしゃれな柄ゆきが増えて、和装のときだけ使うものというイメージは薄くなってきました。とはいえ使い方を習う機会もないので、包み方がいまいちわからず、ハードルが高く感じてしまいます。簡単で覚えやすい使い方があったら覚えてみたい!
今回は「風呂敷専門店 むす美」の広報 山田悦子さんに、簡単にできて扱いやすい風呂敷の包み方について教えてもらいました。
「風呂敷の起源は古く、包み布としての歴史は1300年ほどです。名前の由来は諸説ありますが、当時は蒸し風呂のことを『風呂』と呼んでいたことから。風呂に入る際に大きな布地に着替えを包み、脱衣所で広げて敷いたその上で召物を脱着したといわれています」
風呂敷といえば大きくて四角い形の布地ですが、実は正方形ではないそう。
「上下と左右の長さがほんの少し異なる作りになっています。この理由もいくつかの説がありますが、伸縮性の違いからというものが有力です。横方向よりも縦方向の方が伸縮性が小さいため、使うときに都合がよいように、少しだけ縦が長い作りにしたと考えられています。上下の長さを丈(たけ)、左右の長さは巾(はば)と呼びます」
さまざまなサイズの物を包むために、基本のサイズ展開が豊富なのも特徴。以前から存在する規格だけで10種類もあるのだそう。現在ではお弁当を包む小ぶりなサイズから、バッグ仕様にできる大判サイズまで、いろいろな大きさの風呂敷が販売されているのだとか。
「風呂敷を包む時に使う、基本の結び方は『真結び(まむすび)』と呼ばれます。これは一度結ぶと両側から引っ張っても解けず、正しい解き方をすればするっと簡単に解けるという、魔法のような結び方です」
一度覚えてしまえば簡単です。まずは手近な布でトライしてみましょう!
1:左手でaの下側の布地をつかみ、右手でaの上側を持つ
2:右手で持ったaの先端を、手応えを感じるまで右側へ引っ張る。この時に、aの布がまっすぐに伸びていることがポイント
3:bの結び目を上から軽く握る
4:結び目を右方向に引き抜くと、するりと抜ける
次に、真結びの応用編として、洋服のときにも使えるアレンジバージョンの包み方を教えてもらいました。軽くて扱いやすいのでサブバックとしてや、お弁当を入れる袋にしてもよさそうですね。
「風呂敷には古い印象をお持ちの方も多いと思いますが、 実は私たちの現代のライフスタイルにも柔軟に寄り添う、賢い道具なんですよ。 たためばコンパクトに収納できるうえ、必要なときに結んでバッグにしたり、ギフトのシーンでは相手ごとにラッピングの仕方を変えたりできるなど、気持ちを表現できるコミュニケーションツールでもあります。ぜひお気に入りの一枚を見つけて、バッグに一枚忍ばせておいてください」
四角い形状だけでなく、立体的な物や瓶なども包める風呂敷。なんでも紙袋に入れて持ち運ぶよりも、細やかで女性らしく見える気がします。エコの観点も兼ねて、まずは小さめの一枚から始めてみませんか?
テキスタイル、テーブルコーディネートの仕事を経て、家業である風呂敷メーカー 山田繊維(株)・むす美 の広報を担当。現代のライフスタイルにあったふろしきの活用法の提案を通し、日本の魅力を伝える講習会を各地で開催。NHK Eテレ「まる得マガジン」他メディアでも活躍。著書NHK出版「ふろしきスタイル」など多数。ふろしき専門店「むす美」(東京・神宮前)
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