スパでよく見かける「炭酸風呂」。炭酸は肌によいと言われていますが、実際にどのような効果があるのでしょうか? 今回はマブチメディカルクリニックの馬渕知子先生に、炭酸の効能と、自宅でできる炭酸風呂の作り方を教えていただきました。
炭酸はお風呂以外でも、洗顔や顔のパックにも使われていることがありますよね。具体的にはどのような効果があるのでしょうか?
「そもそも炭酸は、水に二酸化炭素を溶解することで生じます。炭酸は、非常に小さな分子のため、皮膚内部に浸透しやすいのが特徴です。それにより、肌には次のような効果が期待されます」
「炭酸は肌表面の不要な角質や皮脂を取り除き、潤いを促す働きが期待されています。その作用から入浴後の化粧水やボディーローションが肌に吸収しやすくなり、肌の保湿を手助けしてくれます」
「皮膚から吸収した二酸化炭素は、毛細血管に入ると血管を拡張する効能があります。それにより全身の血流がよくなり、代謝が上がって体が温まりやすくなるのです。冷え性の方に特にオススメです」
「炭酸には脂質や脂分に吸い付き、浮き上がらせる効果があります。炭酸風呂に入ったり、炭酸入りの洗顔料を用いたりすることで、角質や皮脂を除去しやすくなります。また、あせもや吹き出物の予防効果にも期待できますよ」
<炭酸のもととなる材料>
●重曹
●クエン酸
●塩(好みで)
※皮膚の脂分を落としやすくするため、お湯は40度以下に設定することがオススメ
「すべて、スーパーマーケットや薬局で手に入るものです。肌に使うので、食品添加物と書かれている食用のものを選んで下さい。塩は入れなくても問題ありませんが、塩を入れることで、ミネラルが豊富になり、身体が温まりやすくなりますよ」
作り方は簡単です。密閉性の高い瓶に、重曹とクエン酸と塩を『3:2:1』の割合で混ぜて入れておくだけ。
「毎回分量を量って用意するのは大変なので、作り置きを用意するのがオススメです。水に入れるまで炭酸は発生しないので、水滴を入れないようきちんと密閉していれば、長く保管できます」
計量に時間をかけたくない場合には、重曹とクエン酸のみを「2:1」で入れてもよいとのこと。
「入れる量の目安は、一般的なサイズの湯船に大さじ3杯程度(湯船の大きさによっても異なります)。湯船に炭酸を入れるときは、最初は少しからにしておきましょう。炭酸は人によっては刺激が強く、肌質に合わないということもあります。様子を見ながら少しずつ加えることで、自分の好みの量を把握するのが大切です」
湯船に入れたら、お風呂の湯全体をよく混ぜます。炭酸の泡が発生してきたら「炭酸風呂」の完成です!
作った炭酸のもとを使えば、自宅で炭酸ヘッドスパもできるそう。この場合は、塩を混ぜずに重曹とクエン酸を「3:2」の分量で混ぜ、500ccの水に対して小さじ2~3の割合を加えて、「炭酸水」にします。では、炭酸水のヘッドスパの方法は?
「簡単に炭酸水で頭を濡らして、指の腹を使いマッサージします。シャンプー前に炭酸水でヘッドスパをするのがオススメです。地肌についた古い角質や皮脂などを落としてくれますし、弱酸性なので肌にも優しいです。また、シャンプーやリンスを洗い流す際にも炭酸水を使うと、頭皮の血流がよくなり、育毛の促進にもつながります」
シャンプー前におこなうと、シャンプーの泡立ち方も違ってくるそう。ちなみに、炭酸水は市販のものもありますが、手製と市販で違いはありますか?
「毎日のように炭酸水を使う場合、かかる金額が大きく違ってきます。また、市販の炭酸水は冷やして販売している場合がほとんどなので、お風呂で温めて使うと二酸化炭素が抜けやすく、炭酸風呂を作るのは難しいです。材料も簡単に手に入るものなので、ぜひ手作りにトライしてみてください」
じめじめした梅雨にはお風呂でさっぱりしたいもの。炭酸水を使って心地よいバスタイムを過ごしてみてはいかがですか?
東京医科大学医学部卒業後、同医科大学病院皮膚科学講座に所属しながら同病院に勤務。その後、マブチメディカルクリニックを開設し現在に至る。内科学・皮膚科学が専門であるが、あらゆる科と提携を結び、多面的に人間の体を総合的にサポートする医療を推進している。