ビニール傘は気軽に購入できて便利なもの。でも、使い捨ての傘を使う人がほとんどのなか、ファッションに合わせてこだわりの傘を持つ女性は素敵ですよね。特に、傘職人が手作りをした特別な傘を持っていると、ファッションもライフスタイルも含めて自分の世界が豊かに感じられそうです!
今回は昭和5年から傘の製造と販売を続ける、小宮商店の広報・宮本幸枝さんに、手作り傘の良さについてお話を伺ってきました。モデルや女優として活躍されている、知花くららさんも愛用されている老舗ブランドだとか。
ビニール傘は安さが売りで、500円しない価格で売られているのに対して、日本製で手作りの傘は1万円代後半と価格が全く違います。大量生産の傘と、一つずつ職人さんが作った傘の違いはどこにあるのでしょうか?
「現在日本で流通している傘は、95%以上が中国産といわれています。海外生産の傘が一概によくないというわけではありませんが、やはり500円から2000円程度までの傘と比べると、国産で手作りした1万円台の傘は作りがしっかりしていて、結果的に長持ちします」
大量生産の場合は30工程ほどある傘作りのプロセスをそれぞれ別の人が分業するのに対し、日本製の手作り傘は傘職人一人が完成までつきっきりで仕上げるため、不良品ができにくいそう。
「例えば8本骨の傘は、8枚の三角形をした生地を張り合わせて作りますが、利用する布を断裁する時に0.5ミリずれただけでも開きが悪く壊れやすくなってしまうのです。分業の場合はその差に気づきにくいですが、一人で作っていれば骨に布を張る段階で気づき、調整することができます。このため丈夫で壊れにくく仕上がるのです」
では、せっかく買った大切な傘を長持ちさせるためには、どんなお手入れをしたらよいのでしょうか?
「雨の中を歩いた傘は、水分だけでなく排気ガスなどを含んだ空気で思った以上に汚れています。放置しておくとサビつくだけでなく、黄ばみや黒ずみ、悪臭の原因に。まずはホースやシャワーなどを使って、水道水で傘の表面を洗い流してください。その後に陰干しすることで、落とせない汚れが残りにくいうえ、カビを防げるので臭いも残らなくなります」
ちなみに小宮商店で作られている傘の一部は、骨の部分がカーボン製のため、サビない上に軽いのだそう。
大切に傘を使っていても、うっかり壊れてしまうことってありますよね。そんな時には、修理はできるのでしょうか?
「当店ではこちらでご購入いただいたものであれば、三角形の布地の一枚部分だけなど、基本的にどのパーツでも修理が可能です。過去には冬場、部屋で干していたら、ストーブで焦がしてしまったというお直しの依頼もありました。店舗で把握している限りでは、20年間同じ傘を使い続けてくださったお客様もいらっしゃいます」
さまざまな修理に対応してもらえるなら、安心して長く使い続けることができそうです。
宮本さんは「ファッションやヘアスタイルにこだわりのある方ほど、傘にこだわるとよいですよ」と言います。
「手作りの傘は、傘を開いた時にカチッと止まる部分が布で覆われているなど、細かいこだわりがあります。そのひとつが“ろくろ包み”と呼ばれる、傘を開いた時に骨が止まる部分への工夫。金具が直接指に触れたり、女性の髪が絡んだりしないようにと、使う人のことを考えた工夫がなされているんです。高級感が出るので、傘を持っていてもファッションが決まりやすくなりますよ。30代からはお洋服もよいものを身にまとう時期ですので、傘の高級感にもこだわっていただくと、よさを実感されると思います」
丈夫で長く使える手作り傘。絵柄やパーツも豊富にあるので、洋服のように自分の好きなものを選ぶ楽しみがあります。また、職人さんが一本一本こだわって作っている物を使うことで、雨の日も少し幸せで特別な気分を味わうことができそうです。傘を使うことの多い梅雨時、消耗品であるビニール傘は卒業して、長く愛着を持てる一本を探してみませんか?