私たちの生活に欠かすことのできないタオル。直接肌に触れるものだからこそ、スキンケアと同じようにこだわって選びたいですよね。近年注目されているのが、愛媛県今治市で作られる「今治タオル」。その特徴や魅力について、七福タオル代表の河北泰三さんにお話を伺いました。
「今治市のタオル文化の始まりは、さかのぼること120年以上前の明治27年です。天日干しに適した降水量が少なく温暖な気候、染色に適した純度の高い水が豊富という、今治の恵まれた環境が文化の発展を支えてきました」
そんな長い歴史を誇る「今治タオル」。どのような特徴があるのでしょうか?
「実は、今治市で生産されたタオル=今治タオルではありません。『四国タオル工業組合』が独自に定めた13の認定試験をクリアした製品のみが、『今治タオル』としてブランドマーク・ロゴの使用を許されるのです。『今治タオル』は“モノづくりの原点”に立ち返り、生産コストよりも使う人たちの心地よさを何よりも大切に考えて作られます。高い品質を保つために、綿や糸選びから作業工程まで、各メーカーが日々努力を重ねていますよ」
「四国タオル工業組合」が独自に定めた認定試験では、吸水性・耐光・洗濯・摩擦・破裂強さなど、さまざまな角度からタオルの品質をチェックしています。
「なかでも吸水性はもっとも審査が厳しい項目。試験では、1センチ角に切ったタオルをビーカーに浮かべ、5秒以内に沈みきることが条件です。吸水剤を使えば簡単に合格できますが、認定試験では3回洗濯したタオルもテストします。吸水剤は1~2度の洗濯で落ちてしまうので、ごまかしはききません」
一般的なタオルは、使い始めに一度洗濯しないと吸水性が低くなりますが、「今治タオル」はおろしたてから素早く水を吸収してくれるのも大きな特徴だとか。
こだわりをもって作られている今治タオル。その風合いをより長く楽しむために、オススメの洗濯方法についても教えてもらいました。
「柔軟剤を使用しないことです。柔軟剤を使用すると、繊維間に油が入り込むので吸水性が落ちますし、毛羽たちの原因になります」
ふんわりとしたタオルには欠かせないイメージのある柔軟剤ですが、なんと「今治タオル」にはNG! でも、それだと柔らかな仕上がりにならないのでは…?
「柔軟剤がその効力を発揮するのは、繊維にコ-ティング剤を使っているタオルの場合。『今治タオル』はそのようなものは不使用なので、空気を入れてふんわりさせましょう。洗濯後、タオルの両端をもって風になじませるように空中で1~2度振ってから干すだけで、肌触りのよい仕上がりが楽しめますよ」
河北さんによれば、40回ほど洗濯を繰り返したタオルでも、このひと手間でおろしたてのような風合いを楽しめるのだそう。
日本の職人技術と伝統が凝縮された「今治タオル」。スキンケア用品のように、日々肌に触れるタオルもこだわってみてはいかがでしょうか?
100年を超える歴史あるタオルの産地、四国・今治で愛されるタオルづくりにこだわり続ける七福タオル。爽やかな朝のめざめから、安らぎに包まれて眠りにつくまで、タオルという一枚の布を通して「素敵な生活」を織り上げていくことを大切にしている。