世界三大美女といえば、クレオパトラ、楊貴妃、小野小町。彼女たちが生きていた時代は、まだ科学も進歩していませんでしたが、現代で使用されている美容法をすでに確立していたといわれています。美のカリスマである世界三大美女は、どんな美容法を実践していたのでしょうか?
日本美容専門学校教務部エステティック部門の佐藤美加子部長にお伺いし、シリーズでお届けします! 今回は、小野小町の美容法をご紹介しましょう。
まず、小野小町が実践していた食事による美容方法は、どういったものだと伝えられているのでしょうか?
「小野小町は美容のために、ハチミツや鯉、麦飯、山芋を食事で摂取していたと伝えられています。とくにハチミツは、平安時代の医学書『医心方』に“豊麗で白い肌にする食べ物”として紹介されていました。美容成分がたくさん含まれていて、肌の保湿にも効果的です」
ハチミツは現代でも、塗っても食べても肌によいスーパーフードとして人気ですね! 鯉を食べる習慣があったとは驚きです…。
「鯉はもともと、薬効として使われていました。コラーゲン、ビタミンB1などが含まれており、むくみや疲労に効果があります。また、麦飯と山芋は滋養強壮食として食べられていたそうです。麦飯には保湿や血行がよくなるビタミンE、山芋はビタミンB、ビタミンC、カリウム、酵素などが豊富ですから、消化もよく、ダイエットにも適した食べ物ですね」
栄養学の確立していなかった当時から、美肌に効果的な成分が自然と取り入れられていたのですね!
「小野小町はよく温泉に浸かり、入浴後はへちまから取れた水分を化粧水として使用したり、米ぬかや小豆粉をクリーム状にして肌に塗布したりしていた」と佐藤さんは言います。当時から温泉に入る習慣があったのですね。
「日本の水は軟水で肌によく、とくに“厳冬に降った雪どけ水がもっともすぐれた水”と当時は考えられ、美容や健康のために温泉が好まれていたようです。また、季節ごとに菖蒲湯や柚子湯に入る現代と同様に、当時も芳香湯や薬湯に入る習慣がありました」
当時の代表的な芳香湯や薬湯には、血行促進に効果的な5月の菖蒲湯、あせもや殺菌に効果的な8月の桃の葉湯、胃腸や神経痛に効果的な10月の秋大根の葉湯、ひびやあかぎれに効果的な12月の柚子湯などがあったようです。
「化粧水として使われていた米ぬかにはビタミンB群、ビタミンE、アミノ酸が含まれていて、保湿や美白、ニキビなどの炎症を鎮静する効果があります。また、小豆粉はタンパク質、カルシウム、ビタミンが含まれていて、保湿に加え、肌の角質や毛穴の汚れを取り除く効果が。へちまにはブリオール酸やサポニンという、抗炎症作用や保湿にすぐれた成分が含まれています」
小野小町が取り入れていた食事や美容法からは、彼女が美肌の持ち主であったことがうかがい知れますね! 佐藤さんいわく「小野小町は宮中へ参内するキャリアウーマンでもある一方、女流歌人としても才能を発揮しています。外見だけでなく知性美も備えていたことが美女いわれる所以だったのではないでしょうか」とのこと。
めったに他人に顔を見せることはない時代だったにもかかわらず、後世まで名を残す美女はやはり特別な存在だったに違いありませんね。次回は世界三大美女の二人目・クレオパトラをご紹介します。
※今回ご紹介している美容法は文献に基づいたものですが、あくまで当時の美容法になります。また、歴史上の人物とはいえ謎も多く、存在についても諸説あります。
日本美容学校夜間部を卒業後、同学校助手を経て教員となる。美容全般のほか、専門分野としてエステティックの教育指導に長く携わり、現在エステティック1年コースの総合美容科に従事。