世界三大美女といえば、クレオパトラ、楊貴妃、小野小町。彼女たちが生きていた時代は、まだ科学も進歩していませんでしたが、現代で使用されている美容法をすでに確立していたといわれています。美のカリスマである世界三大美女は、どんな美容法を実践していたのでしょうか?
日本美容専門学校教務部エステティック部門の佐藤美加子部長にお伺いし、シリーズでお届けします! 今回は、クレオパトラの美容法をご紹介しましょう。
クレオパトラの時代、体の健康を維持する目的でおこなっていたことが、次第に「美容法」として確立していったと、佐藤さんは言います。
「衛生面がよくなかった時代ですから、人々は体をきれいに保つために、さまざまな工夫をしていました。そのうちに体のケアにも意識が向き、いかに美しい肌や髪を手に入れるかに特化して工夫が進んでいったのが、当時の美容法の始まりです」
クレオパトラが施していたメイクも、もともとは衛生面を考えてのものだったそう!
「エジプトは砂漠地帯です。太陽の陽射しや砂漠の虫から、いかに体を守るかが大切でした。クレオパトラをはじめとする当時の壁画の人物がよく目の周りに黒いラインを施していますが、これは美しく見せるメイクというよりも、衛生面を考えたものだったのです」
ほかに、目や口から魔物が入ると言われていたため、魔除けの意味もあったそうです。
「当時のエジブトでは、白い肌と金髪が美の象徴でした。白は高貴の色であり、太陽を崇めていたエジプトでは金は神のイメージがありました。そのため小麦色の肌を持つ民族ではありましたが、そのなかでもいかに肌を白く見せ、艶やかな髪を維持するかを工夫するうちに、クレオパトラたちがおこなっていた美容法が生み出されたのです」
エジプトは陽射しが強いので、放っておくと小麦色の肌になりやすかったはず。では、そういった環境のなかで白い肌を維持するために、行われていた美容法とは?
「クレオパトラは美容のために金やロバの乳を入れた風呂、炭酸、ハチミツ、オリーブ油、真珠、薔薇、香油などを使用していたそうです」
現代でも金箔のパックがありますよね。この時代から使用されていたとは驚きです!
「当時も金の価値は高く、身分の高い人しか使えなかったため、不変や権力の象徴だったそうです。金にはメラニンを抑制したり、代謝を促したり、コラーゲンやエラスチンを生成したりする効果があります。また、ロバの乳は保湿と角質除去に効果的です。また湖から湧き出る炭酸は、ピーリング代わりに使用するほか、代謝促進の効果もありました」
古い角質を除去して保湿をするのは、乾燥した地域では特に大切なことですよね。ハチミツは小野小町も使用していましたが、真珠はどう使用していたのでしょうか?
「真珠を細かく砕いて、酢に溶かして飲んでいたそうです。真珠は古くから漢方にも使用され、保湿やシミ対策、肌バランスを整えるために効果的と言われてきました。また、酢はアミノ酸やクエン酸が豊富です」
また、小野小町と同様に入浴の習慣があり、薔薇をお風呂に入れたり、香油にして使用したりしていたそう。
「薔薇にはホルモンバランスと整えるほか、保湿や引き締めに効果があります。また、オリーブ油は体内の毒素を排泄したり、肌荒れなどの炎症を鎮静したりする効果があり、クレオパトラは食生活に取り入れていたようです」
クレオパトラが大変な努力をして、白く美しい肌を維持していたことが伝わってきますね。女王という地位を守るために、カリスマ性と美貌が必要不可欠だったのではないでしょうか。次回は楊貴妃をご紹介します!
※今回ご紹介している美容法は文献に基づいたものですが、あくまで当時の美容法になります。また、歴史上の人物とはいえ謎も多く、存在についても諸説あります。
日本美容学校夜間部を卒業後、同学校助手を経て教員となる。美容全般のほか、専門分野としてエステティックの教育指導に長く携わり、現在エステティック1年コースの総合美容科に従事。