睡眠障害は体と心の不調を招く! 眠りの質は漢方で改善

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ウレハダ編集部

睡眠障害は体と心の不調を招く! 眠りの質は漢方で改善

「たっぷりと寝ているはずなのに、ダルさがとれない……」とお悩みの方は、もしかしたら時間は長くても熟睡できていないなど、睡眠の質に問題があるのかもしれません。今回は、睡眠が心身に及ぼす影響と、不眠の原因別・オススメの漢方薬を、漢方&薬膳アドバイザーの杏仁美友さんにお聞きしました。

疲れているのに熟睡できないのはなぜ?

杏仁さんによると、夜に良質な睡眠を得るためには、体の機能が落ち着いて活動が静まる状態、すなわち漢方で言うところの「陰」の状態を優位にする必要があるそうです。

「体の熱を冷ます機能が弱かったり、精神が高ぶっていたり、夜更けの飲食などで夜間は休めなくてはいけない内臓の機能がずっと動いたりしていると、体は『陽』に傾いてしまいます。また漢方では、思考や行動をコントロールする大脳の働きは『心』という機能が担っているとされています。心配事などで脳を使いすぎて『心』を養う血液や水分が不足すると、のぼせや手足のほてりが出て体が『陽』に傾き、浅い眠りになりがち。このように心労やストレス、不規則な飲食などの影響で体内の陰陽バランスが崩れることが、不眠の原因になるようです」

睡眠の質が下がると、体や心に悪影響が!

不眠が続くことで、具体的にどのような悪影響がもたらされるのでしょうか?

「不眠が起こると、肌の荒れや乾燥、めまい、便秘といった症状が現れます。また、体内に余分な熱がこもって、イライラしやすくなるほか、目が充血したり、頭痛や耳鳴りが起きたりする場合も。熟睡できない状態が長く続けば、ますます精神や肉体の疲労が蓄積され、食欲不振、物忘れ、動悸などを引き起こし、生活の質が下がることもあるでしょう」

不眠は放っておくと、体だけでなく、心や肌にも悪影響を及ぼすため、メンタルケアが必要になることもあるそうです。

自分に合った漢方で睡眠の質は改善できる

身体的な影響が出ている場合でも、合う漢方を取り入れることで、自分でも睡眠の質を改善できることがあるそう。熟睡を妨げている原因別に、睡眠の質の改善に効果的な漢方薬の種類を教えてもらいました。

心身ともに疲れているとき

「心身の疲れでグッタリしているときに有効なのが、寝つきを良くする代表薬・酸棗仁湯(さんそうにんとう)です。滋養作用があり、精神を落ち着かせ眠りの質を高めてくれます」

精神的な不安、物忘れ、貧血があるとき

「上記と同様に体力が落ちて疲れているとき、それに重ねて精神的な不安感やノイローゼなどの症状が強い、または消化機能が弱く物忘れや貧血がある場合は、帰脾湯(きひとう)がオススメです」

熱がこもって、のぼせやめまいがあるとき

「ストレスなどの精神的な刺激により体内に熱がこもり、のぼせやめまいがある場合は、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)が効果的。ヒステリーや精神不安にも用いられる漢方で、高ぶった精神を落ち着かせ、熱を冷ましてくれます」

消化機能が低下しいているとき

「食べすぎや飲みすぎで消化機能が低下し、体内に余計な湿と熱が合わさってしまうと、心に影響を及ぼします。消化機能の不調を伴うこのタイプには、温胆湯(うんたんとう)がよいでしょう」

ただし、どの漢方薬も飲んですぐに眠くなるなど、西洋の睡眠薬のような即効性があるものではないとのこと。

「服用するときは、必ず医師など漢方に詳しい専門家に相談しましょう。決められた分量を定期的に飲むことで、睡眠につきやすい心身の状態を作っていきます」

美容と健康に深く関わる睡眠の質。熟睡できず、体や心の不調を感じたときは、漢方薬を取り入れてみては、いかがでしょうか。

取材協力:漢方&薬膳アドバイザー 杏仁美友(きょうにん みゆ)さん

国際中医師、中医薬膳師。一般社団法人薬膳コンシェルジュ協会代表理事。自身が立ち上げた薬膳の協会で講師を務めるほか、テレビや雑誌の取材、レストランの薬膳メニュー監修、総合情報サイト「All About」漢方・薬膳料理ガイド、薬膳サプリの商品開発、講演会なども精力的におこなう。著書に『超カンタン!漢方・ 薬膳』(エイ出版)、『薬膳美人』(マガジンハウス)、『漢方をはじめよう』(成美堂出版)など多数。

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