「蒸し暑くて寝つけない」「頭がさえてぐっすり眠れない」、こんな夜はありませんか? 心地よく眠るには、ベッドに入る前の過ごし方も重要。そこで、お風呂に入るタイミングや寝具・寝間着のオススメ素材など、ぐっすりと眠るための環境づくりについて、快眠セラピストの三橋美穂さんに伺いました。
暑い日が続くとシャワーだけで済ませるという方が多いのでは? しかし、三橋さんによれば、快眠のためには湯船にしっかり浸かるのが重要なのだそう。
「私たち人間は、深部体温が下がると眠気が訪れます。そこで、湯船に浸かって深部体温を上げておけば、30分~3時間後にストンと下がり、深く眠れるようになるんです。夏場は38度~40度、冬は39度~41度の湯に15分はのんびり浸かるのがオススメです。また、深部体温を高めるために、入浴剤を活用するのも効果的。ボディの保湿作用や香りによるリラックス効果も期待できるので一石二鳥ですよ」
一般的には就寝1~2時間前の入浴が理想的ですが、湯冷めしやすい人は眠る直前、体温が下がりにくい人はさらに早めに入ると◎。
とはいえ、湯船に浸かることが眠りや美容にいいとはわかっていても、シャワーだけで済ませてしまいたい日もありますよね…。
「そんな日は42度くらいの熱めのシャワーを首から背骨にかけて1分ほど当てましょう。眠りを誘う副交感神経が活発になるので、寝つきやすくなります。シャンプーのついでにできるので、手間もかかりません。また、冷水と42度くらいの熱めの湯を、ひざから下へ交互にかけるのも、血行がよくなって疲れが取れやすくなるのでオススメです」
入浴はぬるめ、シャワーは熱めの温度設定がポイントなんですね。
「蒸し暑くて眠れないときは、背中と布団を密着させないことが重要」と三橋さん。オススメの寝具や素材をいくつか教えてもらいました。
「肌に触れたとき、ひんやり、サラッとする感触のものを選ぶのがベスト。麻や楊柳綿(ようりゅうめん)、サッカー生地、ガーゼなどのシーツや寝間着を選びましょう」
「ゴワッとした質感で厚さ1センチほどのシーグラスのマットは水草を編んで作られており、100円ショップなどでも取り扱いがあります。シーツの下の背中が当たる位置に敷いておくと、背中の通気性が良くなるのでジメッとせず快適に眠れますよ。実際に使ってみると、意外とゴワつきや厚さも気になりません」
「250グラムほどの小豆を袋に入れて、あらかじめ冷凍庫で冷やしておきましょう。20~30分ひんやり感が持続します。ちなみに、同量の小豆をファスナーのない袋に縫い入れて、電子レンジで40秒ほど温めたものを首筋に当てておくとコリがほぐれます。後頭部は冷やして、首筋は温めると、露天風呂に入っているような感じで気持ちがいいですよ」
続いて、照明についても伺いました。お手本にしたいのは太陽の光だとか。
「『寝つきが悪い』と感じている方は、照明を変えてみましょう。太陽の光は、昼間に青白く明るい光が降り注ぎ、夕方以降はオレンジ色に変化します。これと同様に、17時を過ぎたら照明は夕陽のような暖色系の明かりにするのがオススメ。最近の照明器具は色や明るさが切り替えられるタイプも登場しています。緊張がほぐれて、リラックス効果も実感できるはずです」
さらに、ベッドに入っても寝つけないときは、ちょっとユニークなリラックス方法も。
「目を閉じたまま人差し指で両耳の穴をふさぎ、少し低音で『ん~』と頭に響かせてください。息継ぎをしながら1分ほど続けると、指を離した瞬間に、頭の中がシーンと静かになってすっきりします。あれこれ悩みごとが思い浮かんで眠れないときも、この方法をぜひ試してみましょう。人前でスピーチをするといった、緊張をほぐしたいときにも活用できます」
いかがでしたか? 入浴時のお湯の温度や寝具の素材など、ちょっとしたところに「快眠」のヒントが隠されています。気持ちよく、ぐっすり眠れるように、ぜひ参考にしてくださいね。
快眠セラピスト・睡眠環境プランナーとして、全国での講演活動やコンサルティング、快眠グッズのプロデュースなど睡眠関連事業に広く携わる。睡眠を多角的にとらえた実践的なアドバイスや快眠メソッドに定評あり。近著に『驚くほど眠りの質がよくなる睡眠メソッド100』(かんき出版)、『脳が若返る快眠の技術』(KADOKAWA)などがある。
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