袖のある服を着たときにできるワキ汗は、女性にとっては特に恥ずかしいもの。でも気づかないうちに、汗がにじんでいたり、シミになったりしてしまったりしていて、恥ずかしい思いをした経験を持つ人も多いはず。
そこで今回は、五味クリニック院長の五味常明先生に、ワキ汗をかきやすい人の特徴や、ワキ汗をできるだけ止める方法について聞きました。
ほかの部位よりも汗をかきやすく、量も多いように感じるワキ汗。どのようなメカニズムで、ワキから発汗するのでしょうか。
「ワキは、手のひらや足と同じように汗腺の数が多く、汗をかきやすい場所です。肌同士が密着しているワキは、ほかの部位と違って汗がこもりやすく乾きにくい。だから、実際の量以上にたくさん汗をかいていると思ってしまいがちです。
また、ワキにはアポクリン腺というにおいを発生する汗腺もあります。この量は体質によって違いますが、アポクリン腺が多い人はワキ汗の量が多くなりますね。耳垢が柔らかい人にアポクリン腺を多いという特徴があります」
さらに、汗の出方には2つの種類があり、ワキ特有の発汗の種類も発汗量に大きく関わっているそう。
「汗は体にこもった熱を放出するための欠かせないもの。このように、暑くなったら汗が出る作用を“温熱性発汗”と言いますが、ワキからは“精神性発汗”という緊張性の汗も出ます。手に汗を握るという言葉と同じように、緊張するとワキは発汗しやすくなる性質を持っています。これは完璧主義の方や、周りに気遣いができる人に、とくに多い傾向です」
精神面との深い関わりがあるワキ汗。それでは、メンタルを鍛えればワキからの発汗は多少抑えられるということ?
「“精神性発汗”によりワキ汗が出てしまう場合は、汗を止めよう止めようと意識するほど発汗してしまいます。汗をかくことを『みっともない』『恥ずかしい』と思うのではなく、『汗をかいてもいいんだ』という開き直りが必要です。自分は性格が優しいから汗をかいているんだと思うことで、汗をかくことへの羞恥心が薄れ、結果的に汗が出にくくなるでしょう」
一方、暑いがゆえ発汗してしまう“温熱性発汗”の場合は、制汗剤を使ってワキ汗が出るのを止めてもいいそう。
「汗を止めていい箇所は、ワキと足の裏だけ。この2箇所は、肌や衣類などと密着していることが多く、外気に触れにくい。汗をかいても蒸発できないため、ワキと足裏からは体内にこもった熱を発散させることはできません。つまり、体温調整に関わってこない箇所なので、制汗剤を使ってワキからの発汗を抑えも問題ないのです。
なお、制汗剤にはにおいを抑える効果が高いものや、発汗自体を抑える効果が高いものなど種類がありますので、悩みに合うものを選びましょう。足裏のにおいが気になる人は、足裏専用の制汗剤を使ってもよいですよ。
また、急な発汗で一時的にワキ汗を止めたい場合は、バッグや手を使ってワキを圧迫するといいでしょう。ここで食い止められた発汗は、ワキからは出ずに別の箇所で発汗されるので問題ありません」
汗の原因と種類を知ることが、ワキ汗回避のいちばん重要なポイント。また、「汗は誰だってかくものだ!」という、開き直りも大切ですね。ポイントを押さえて、ワキ汗を気にしすぎずにファッションを楽しみましょう!
ワキガや体臭、多汗に悩む患者の心と体に寄り添う診療を施す「五味クリニック」の院長で、体臭・多汗治療のパイオニア。心のケアに外科的手法を組み合わせた“心療外科”を提唱する。
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