毎日丁寧に肌ケアをしているのに、トラブルが絶えない……。そんな時は外側からケアしているアイテムのみならず、体の内側に原因がある場合が多いもの。とくに腸内環境は肌のコンディションを大きく左右します! 腸内環境と肌の関係を、M’sクリニック南麻布の伊藤まゆ院長にお聞きしました。
よく「腸内環境が悪い」という言葉を聞きますが、どのような状態を指すのでしょうか?
「食べ物は胃で細かく分解されて消化されたあと、小腸で栄養分のほとんどが吸収され、血管を通じて肝臓に運ばれます。そして、不要なものは解毒や代謝され、糖質やタンパク質などの必要な成分へと再構築されます。さらにビタミンの一部と水分が大腸で吸収され、残りの不要なものは大便となって排泄されます。腸内ではこうした消化作用を助ける『善玉菌』と呼ばれる菌が住んでいるのですが、食べ物の質が悪かったりストレスが多すぎたりすると善玉菌が減り、代わりに悪環境を好む悪玉菌が増えてしまいます」
つまり「腸内環境が悪い」とは、腸内の悪玉菌が多い状態のことを指すのですね。悪玉菌が増えることが便秘も招く一因になるそうです。
「腸内の善玉菌が減ると消化作用が悪くなり、食べ物がいつまでも腸内で滞ってしまい、排泄までの流れも悪くなります。便がスムーズに排泄されないことで、さらに腸の動きが不安定になって悪玉菌が増え、便秘気味になってしまいます。いったん便秘になると善玉菌はどんどん減り、悪玉菌が増えていくという負のスパイラルに陥ってしまうのです」
腸内環境が悪くなると増える悪玉菌と、肌トラブルには密接な関係があるようです。伊藤さんは「悪玉菌が産生するガスが肌荒れの原因になる」と言います。
「腸内にはびこった悪玉菌はガスを産生します。このガスは血液中に吸収されて、肝臓で解毒・代謝されるのですが、その量が多いと肝臓が対処しきれなくなってしまいます。すると余ったガスが毒素や老化の原因となる活性酸素となって体に留まり、腎臓に負担をかけたり肌トラブルを招いたりするのです」
解毒・代謝されなければならないガスが体内に残ることで、具体的にどんなトラブルを引き起こすのでしょうか?
「毒素や活性酵素が溜まることによって、むくみや湿疹、ニキビ、皮膚炎、色素沈着となって現れます。また免疫系への影響もあるといわれていて、アレルギー疾患との関連も示唆されています」
腸内環境を整えて善玉菌を増やすには、食生活を改善することがもっとも効果的。そのための食生活をお聞きしました。
「ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌は腸内細菌を助けて、腸内環境をよくする働きがあります。ですが、腸内細菌には個人差があるうえ、乳酸菌と一口に言っても、乳酸菌シロタ株、フェリカス菌、ラブレ菌など、その種類はさまざまです。相性のよい乳酸菌を見つけるには、同じメーカーのものを1カ月続けて摂取して、その前と比べて便通に変化があったかで判断をしてください」と伊藤さん。
腸内環境を整えれば、肌ケアもさらに効果が期待できますね! 外側からのケアも大切ですが、腸のインナーケアにも気をつけて過ごしてみましょう。
消化器外科医と美容医療の経験をベースに、外側からだけではなく、サプリメント補充療法、総合ホルモン補充療法、プラセンタ療法などを組み合わせ、またアロマテラピストとしての立場とその他の補完代替医療をバランス良く取り入れた、他に類を見ない独特な視点から、『体の内と外からの抗老化医療』をコンセプトにした診療を行っている。