すれ違ったとき、ふわりと香水のよいにおいが漂う女性がいると、素敵だなと思いますよね。香水は大人の女性として上手に使いこなしたいアイテムですが、自分に合う香りを選ぶのは難しいと感じることも…。
そこで香水の種類や付け方について、有限会社ファイエルターク代表取締役でもあり、香りのソムリエ・調香師でもある内山愛子さんにお聞きしました。
内山さんによると、香水を選ぶ時にはまず、基準となる香水の分類を知っておくことが大切だそうです。
「香水は香料の濃度を示す賦香率(ふこうりつ)によって、4つに分類されます。濃度の高さで持続時間が変わってくるんですよ」
「一般的には4種類すべてが『香水』と呼ばれていますが、正式にはパルファンのみを『香水』と呼びます。また柑橘系がベースとなる香水は比較的早く揮発し、ジャスミンやイランイランなどは香りの持続性が高いものなので、これらの香料が多く配合されていると持続時間も比較的長くなりますね」
さらに香水には「香りのノート(高調)」があり、つけた直後と、少し時間を置いてからでは香りの印象が変わるのだとか。順に、トップ・ミドル・ラストと3段階で呼ばれるそうです。
「香水の付け方に絶対はありませんが、香りの成分は体温で温められると、下から上へ立ち上がりながら拡散します。ですから下半身を中心に、直接肌へ付けることをおすすめします。付ける場所は、ひざの裏、アキレス腱、ウエスト、肩などがポイント。また、手首に付ける場合は10~20センチ離して、片手ずつ1プッシュしましょう。この時に手首をこすり合わせるのはNG! 完成された香りが壊れてしまいます」
とはいえポイント部分すべてに付けてしまうと、種類によっては香りがくどくなってしまうことも。また、逆に種類によっては、軽く付けた程度ではほとんど香らずに消えてしまう場合もあります…。アピールしたい強さによって、付ける位置を変えたほうがよいのでしょうか?
「ふわっと香る程度なら、パンツの場合は足首に、スカートの場合はひざの裏に付けましょう。下半身中心に付けることで、ゆっくりと香りが伝わり、ほのかに香りますよ。反対にしっかり香りを強調したい時には、体温の高い手首やウエスト、肩など上半身中心に付けましょう。特に手首は体温が高いので、しっかりアピールすることができます」
また、新しく購入した香水などは加減が分からず、つい付け過ぎてしまうこともありますよね。そんなときのコツもあるそう!
「付け過ぎた時は、水道水で付けた部分を洗い流してください。香りがほどよく落ちます。すぐには洗えない部分であれば、アルコールや消毒エタノールをコットンに含ませて、付けた部分を軽く叩いてから拭き取りましょう」
香水は素敵な演出をしてくれる嬉しい存在ですが、一方で場所を考えて使いたいアイテムでもあります。
「会社では周囲の人たちの邪魔にならないことを意識しましょう。香りに敏感な人もいますから、付けるなら優しくライトな香りを。お葬式やお見舞いの時に香水を付けることはマナー違反ではありませんが、控えめな香りを選ぶかラストノートになってから出かけるのがベストです。パーティでも、和食や懐石といった繊細な味や香りを味わう食事がメインの時は、香水を控えるかラストノートになってからがいいと思います」
香水は気分を盛り上げてくれる心強いアイテム。洋服に合わせたり季節に合わせたり、相手を気遣いながらさまざまな香りを楽しみましょう。
エジプトで香料・調香の基礎から本格的に学び、日本人として初めてエジプトで調香師修了書を取得。オリジナルブランド香水の製造・販売のほか、企業フレグランスの製造・監修や香水セミナーを300回以上開催するなど、幅広く活動中。