ほんのりピンク色でツヤのある唇は、女性らしさを感じさせますよね。しかし、日頃のケア不足などによって唇の色が悪くなると、リップの色がのりにくく、すっぴんだと不健康に見えてしまうなんてお悩みも…。
そこで今回は、めぐろ皮膚科クリニック院長の深野祐子先生に、唇の色が悪くなってしまう原因と自宅でできる唇の美容法を伺いました。
深野先生曰く、「そもそも、唇の色は肌色と同じように各自異なる」とのこと。しかし、個人差があるとはいえ、本来の唇の色より血色が悪くなってしまう原因は、主に以下の2つが考えられるそうです。
「唇は常に外気にさらされており、紫外線を浴びやすい箇所です。また、なかなかUVケアも行き届かない場所でもあります。唇も紫外線に当たると、皮膚が日焼けしたときと同様に全体的にカサつき、くすんだような色になります。また、紫外線を浴び続けたまま年齢を重ねると、『光老化』と呼ばれる、加齢によるシミやくすみを引き起こしてしまいます。個人差はありますが、40代以降から自覚する方が増えてくるようです」
「お手入れの際に唇をこする、また日中の舐める・噛むなどの癖によって炎症が起こることも、唇の色素沈着の原因の一つです。これは正式には『炎症後色素沈着』と呼ばれます。皮膚の炎症によりメラニン色素を作り出すメラノサイトが刺激され、メラニン色素が多く合成されて残ってしまったものが、炎症後色素沈着です。炎症が治まり、赤味が引いたのちに現れます。アトピー性皮膚炎や慢性湿疹で炎症を繰り返す方だと、全体的な色素沈着だけでなく、唇のところどころに点状のシミができるケースもあります」
また、喫煙により唇が紫色がかったり、まだらや帯状に黒ずんだりすることも考えられるとのこと。これは、タバコに含まれるニコチンにより血管が収縮して血流が悪くなる、メラノサイトが刺激される、ビタミンCが破壊されるなど、いくつかの要因によって起こるそう。
では、ツヤがあり健康的なピンク色の唇を作るには、どのようなケアをすればいいのでしょうか? 深野先生によると、日頃の意識を少し変えるだけで、唇の状態は大きく向上するそうです。
「屋外に出る際、皮膚に日焼け止めを塗るのと同様に、唇も『紫外線予防』が必要です。日頃から、UVカット効果のあるリップクリームを使用しましょう。日焼けによるくすみはもちろん、加齢による色素沈着の防止にも非常に効果的です」
「唇のお手入れをする際は、『こすらない』ことが鉄則。たとえばメイクを落とすときも、拭き取りメイクシートなどでゴシゴシこするのではなく、ポイントメイク落としをたっぷり含ませたコットンで、やさしく拭き取るといいですね。乾燥が気になるときに多用しがちなリップクリームも、しっかり塗ろうとするあまり、こすりながら塗ってしまう方も目立ちます。スティック状よりもケースに入ったタイプのリップをたっぷり手指に取り、乗せながら付けましょう。香料などが刺激になることもあるので、シンプルで刺激が少ない『ワセリン』を使用するとよいでしょう。スペシャルケアとして、リップを塗ったあとラップで5~10分ほど覆うと、保湿成分がより浸透します。ぜひ試してみてくださいね」
これまで、唇の紫外線ケアを怠っていたという方も多いのではないでしょうか? お肌のみならず、唇にとっても紫外線は大敵! こすらずやさしいケアと紫外線対策で、魅力的なピンク色の唇をつくりましょう。
一般皮膚科診療から美容皮膚科診療まで幅広く対応する「めぐろ皮膚科クリニック」の院長。丁寧な診察とわかりやすい説明で、「お肌のかかりつけ医」として多くの患者さんに親しまれている。
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