風が冷たくなり、日も短くなってくると、家でゆったり過ごす時間も増えますよね。そんな季節は、インテリアとしてもぴったりなグリーンを飾って部屋に彩りを加え、心豊かに過ごしてみませんか?
今回は東京・渋谷にあるショップ「NEO GREEN」の白田仁さんに、グリーンと暮らす基本をお聞きしました。
「グリーンとは、観葉植物を意味する日本独特な総称です。観葉植物とは、葉や茎、幹などを鑑賞する植物で、主に室内で育てる植物を指します。葉が丸いものもあれば、尖っているもの、葉脈がくっきりしているもの、茎が太いものや曲線のあるものなど、多種多様なグリーンが手に入ります。なかでも、光が限られた部屋の中で元気に育てるためには、耐陰性(日陰に耐える性質)のある植物を選ぶことが大切です」と白田さん。
観葉植物は適当に選ばず、日陰で育てることをお店の人に伝えて、選んでもらったほうがよさそうですね!
白田さんによると「植物に欠かせないものは光と空気、そして水です。その3つを心がければ、初心者でも室内でグリーンを取り扱うことは難しくない」そう。
「まずなるべく明るい窓際を選びましょう。耐陰性に富んだグリーンであっても、適度な光は大切です。ただ夏の強い日差しや直射日光をずっと当てると、葉を枯らしてしまうことも。ジリジリと焼けつくような暑さや、眩しすぎるほど強い光のある場所のは避けたほうがよいでしょう」
また、グリーンは熱帯育ちのものが多いので、寒すぎない場所であることも重要だそうです。
「グリーンにはさまざまなタイプがありますが、置く場所の平均気温としては20℃前後が目安となり、10℃以下は不向きといわれています。秋〜冬場は窓際に置きつつも、少しだけ窓から離すまたは部屋の中央あたりに移動させるなど工夫を。戸建てや古いマンションなどは特に窓辺が冷え込む場合が多いですので、エアコンなど部屋の温度を調整しやすい機器を賢く使ってもいいですね」
「グリーンには常に新鮮な空気が必要です。そのため、無風ではなく、風の流れがある場所に置きましょう。窓から外気を取り込むことも手ですが、冷え込む季節などは寒過ぎて逆効果の場合も。人が行き来するだけでも風の流れはできるので、部屋の中でも人の動きが多い場所に置くことがオススメです。また出張や旅行などで家を空ける際は、小さな扇風機を回したままにしておくと、グリーンが弱るのを軽減できます」
「グリーンを植えている土の表面全体が乾いたら、水をあげるサインです。水をあげる際は、鉢底から水が流れ出てくるくらい、たっぷりと水やりするのが鉄則です。よく『観葉植物は水をあげすぎてはいけないと聞くので、土が湿る程度、コップ1杯の水をちょこちょことあげています』という方がいらっしゃいますが、これはNG。水やりは、水分とともに空気を与える意味もあるので“水やりはたっぷりと”が大切なのです」
なお、水やりにはペットボトルを活用するとよいそう!
「水やりの鉄則、鉢底から水が流れ出てくるくらいの水の量を知るために重宝するのがペットボトル。じょうろがなくとも、ペットボトルだと500ml、350mlと入る水量が明確なので、一定量を水やりやすいです。また大きな鉢のグリーンであれば、水を1週間くらい与えなくても平気な場合が多いのですが、最近は簡易の自動給水機などもあるので、家を空ける際に利用するのも手ですよ」
いざ、グリーンを自分で選ぼうとしても、扱いが難しいものを選んで失敗したくない…。初心者には、どんな種類が扱いやすいでしょうか?
「グリーンにはめまぐるしいトレンドや、大きな変動は少ないので、選ぶ際は家具やインテリアに合わせるか、“これ素敵!”と感じた気持ちを優先してください。そんな中でも昨今人気が高く、扱いやすいと評判なのがガジュマル、シルバーメタル(フィンデンドロン)、ベンガレンシスです」
「日陰に強く、平均より低い5℃程度まで耐えられるなど、性質が強健なグリーンの一つ。幹の途中からむき出したような気根(植物の地表に出ている茎または幹)が独特で、一つ置くだけで部屋の雰囲気がパッと変えられます。盆栽などにも使われ、和室にも向いています」
「その名の通り、金属に似た銀色の輝きをもった緑色が特徴です。ガジュマル同様に、耐陰性も耐寒性もあります。ピカっとテカリのある葉の色がモダンかつクールな印象で、寝室や廊下など落ち着きを持たせたい場所に最適です」
「一枚一枚くっきりと見える葉脈、鮮やかな緑色を持ち、すっきりとした樹形ながら華やかさがあります。リビングや玄関など、人が集うところに置くのがオススメ。明るいイメージもあり、子ども部屋にもぴったりです」
グリーンは目に美しいもの。でも、それだけではなく、生き物と暮らすことはおのずと毎日に習慣が生まれ、張り合いも出るものです。心が満ちれば、肌や表情にもきっと効果があるはず! 緑が少なくなる寒い季節にこそ、グリーンのある生活、始めてみませんか。
2007年、東京・渋谷にNEO GREENをオープン。一鉢一鉢に風景を作ったグリーンポットと盆栽を扱う。日本人が本来持つ四季の感覚や、侘び寂びといった高度な文化など、古くから日本に続く意識や感性を喚起させるような木々を提案している。
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