スキンケアやボディケアをしている時、ふと「こんなところにあったっけ…?」と、新しいほくろを見つけたことはありませんか? シミほど敏感にはなっていないものの、部位や大きさによっては、体に悪いのでは…と気になることもありますよね。
今回は知っているようで知らない「ほくろの正体」について、めぐろ皮膚科クリニックの深野祐子院長にお聞きしました。
「ほくろの医学的正式名称は『母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)』、もしくは『色素性母斑』と言います。母斑細胞という細胞が集まってできた、良性の皮膚病変です。メラニンを有することが多いため、褐色や黒色、時に青色のものが多いですが、皮膚と同じ色をしているものもあります」
ほくろには生まれつきある先天性のものと、途中ででてくる後天性のものの2種類ありますが、深野先生によると、皮膚構造上に違いはないそうです。
「もちろん個人差はありますが、先天性のほくろは1.5センチと大きなものもある一方で、後天性のほくろは比較的小さなものが多く見られます」
では後天性の場合、どうしてほくろができるのでしょうか?
「ほくろは一種の遺伝子異常によってできると考えられていますが、はっきりとしたメカニズムは現在のところ不明です。いわゆるシミと同じように、紫外線や光老化の影響で生じるものではないかと考えられています」
また、遺伝や生活習慣によるものと思いがちですが、それらにも依らないと考えられているそう。ほくろって、まだまだ未知の部分が多いのですね。
よく耳にする噂に「急にできたほくろはがんの可能性がある」「足裏にできるほくろはがんかもしれない」などがありますが、実際のところどうなのでしょうか? 皮膚科に行くべき部位や、ほくろの種類はあれば教えてください。
「『ほくろのがん』と呼ばれることがある『悪性黒色腫』のことでしょうか。一般的にほくろが、悪性黒色腫に変わることはないと考えられています。しかし、ほくろと悪性黒色腫は初期の段階では、非常に見分にくい場合もあります。手のひらや足裏は、悪性黒色腫の発生しやすい部位なので、そのあたりに見たことのないほくろが出てきた場合は注意が必要な場合があります」
では、どんな形状のほくろが出たときに、注意すればよいのでしょうか?
「形がいびつ(不規則系)、境界がぼやけている(境界不鮮明)、色の濃いところと薄いところがありまだらになっている(色調多彩)、急に大きくなる(直径6ミリ以上)、表面が盛り上がっているなどの特徴がみられるほくろが出てきた場合は、皮膚科に症状を相談することをオススメします」
顔や体など、全身のさまざまな部位にできるほくろ。体に害はないようですが、どうしても気になる時は、レーザーや外科的に取り除くことも可能。しかし、切除した場合やはり跡は残ってしまうんだとか。ほくろについて気になることがあったら、皮膚科医の先生に相談してみましょう。
一般皮膚科診療から美容皮膚科診療まで幅広く対応する「めぐろ皮膚科クリニック」の院長。丁寧な診察とわかりやすい説明で、「お肌のかかりつけ医」として多くの患者さんに親しまれている。
公式サイト