手足の先にしみるような空気の冷えを実感するこの季節。肌の乾燥対策を意識する人は多いと思いますが、実は爪も同じように乾燥していることをご存じでしょうか? 冬によくある爪トラブルについて、神楽坂 肌と爪のクリニック院長の野田弘二郎先生にお話を伺いました。
指先の保護や動きのサポートとして、重要な役割を果たしている爪。皮膚より硬いので、乾燥の影響とは無縁に思われがちですが、実は一定の水分を含んでいるパーツなんです。健康な爪の水分含量は15%程度ともいわれています。そもそも爪はどのような構造なのでしょうか?
「爪は皮膚の一部で角化が進んだもので、主成分はケラチンというたんぱく質です。1枚でできているように見える爪ですが、実は上からトッププレート(背爪)・ミドルプレート(中爪)・アンダープレート(腹爪)と呼ばれる3層が重なった構造になっています。表面のトッププレートという層と最下層のアンダープレートの組織は縦に、中間のミドルプレートは横に走っており、このベニヤ状の構造によって爪の硬さと柔軟性を保っているのです」
時に「体調のバロメーター」ともいわれる爪。健康な状態の爪は、一般的に表面に凹凸がなく、薄いピンク色をしているイメージですよね。肌のように加齢によって爪も影響は受けるのでしょうか?
「爪は、肌と比べて加齢による変化は少ないパーツと言えます。しかし、まず爪の表面に細かい縦筋が目立つようになり、その後、伸びるペースがやや遅くなり、それに伴ってわずかに厚くなったり、黄味を帯びたりすることがあります。伸びが遅くなると、水分含量が低下して柔軟性がなくなってしまうので、脆く割れやすい状態になりがちです」
野田先生によれば、加齢だけでなく、空気の冷えや乾燥も爪の水分含量が低下させる要因なんだとか。
では、冬に多い代表的な爪トラブルの症状を教えてください。
「爪の先端近くが雲母状に剥がれる“二枚爪”こと『爪甲層状分裂(そうこうそうじょうぶんれつ)』や、爪が弱く折れやすくなる『脆弱爪(ぜいじゃくづめ)』といった症状が増えてきます。普段は爪に関するトラブルがない方も、割れたりかけたりしやすい状態になりますので、注意しましょう」
さらに、爪の乾燥に拍車をかけるのが、ジェルネイルの休みない継続や除光液の過度な使用。色や形状の変化は体内部の疾患のサインである場合も…。定期的に手足の爪の状態をチェックしておきたいですね。
爪のトラブルを防ぐには、毎日のこまめなケアが大切。健やかな爪が育まれるだけでなく、手荒れやささくれなども予防できます。
「家事や料理を行うときは、手袋の使用をオススメします。水仕事の後は、ハンドクリームやネイルオイルで保湿を心掛けましょう。ハンドクリームは手で包み込むように温めてからなじませると、より浸透効果が期待できますよ」
どれも手間や時間のかかることではないので、ぜひ習慣化したいですね。どうしても手先や足先が乾燥しがちな季節だからこそ、こまめなケアで指先美人を目指しましょう。
国内唯一の爪専門クリニック「神楽坂 肌と爪のクリニック」院長。形成外科医にしてプロネイリストでもあり、爪に関するあらゆるトラブルのエキスパート。巻き爪、爪白癬などの爪疾患のほか、ジェルネイルやマニキュアによるトラブルなどにも造詣が深く、テレビや雑誌などの各種メディアでも活躍中。
公式サイト