汗をかいた後や生理中は、デリケートゾーンの蒸れによるニオイやかゆみが気になりますよね。しかし人にはなかなか相談しにくいもの…。
そこで、デリケートゾーンのケア方法について、婦人科・エイジングケア専門の成城松村クリニック・松村圭子院長に聞きました。
「デリケートゾーンと呼ばれる外陰部は、複雑な構造になっているため、熱がこもりやすく蒸れやすいうえに、汗腺があるので汗もかきやすい部分です。そこへ通気性の悪いショーツやストッキングといったものを履くわけですから、こもった熱が外へ逃げられず、さらに蒸れた空間を作りだしてしまいます。こうした空間は雑菌が繁殖しやすく、ニオイやかゆみの原因になります。特に生理中は蒸れやすいので、デリケートゾーンのトラブルは多くなりますね」と松村先生。
しかし、蒸れがニオイの原因とはいえ、デリケートゾーンには十分な保湿も大切なのだそう。
「肌は乾燥すると、外部からの刺激に弱くなり、かゆみがより発生しやすくなることがあります。特にデリケートゾーンはとても敏感で繊細な部分。保湿が十分でなく、乾燥しすぎることでかゆくなったり、ナプキンや下着などの刺激でかゆくなったりすることもあります。過剰な蒸れはニオイなどのトラブルにつながりますが、かといって乾燥すると、外部からの刺激に弱くなってしまうのです」
デリケートゾーンのケアで大切なのは十分な保湿かつ、蒸れにくいように清潔に保つこと! そのためのケア方法をいくつかお聞きしました。
「デリケートゾーンは恥垢と呼ばれる汚れが溜まりやすい部分ですから、きちんと洗うことは大切です。しかし、洗い方やソープの成分を間違えないこと! 膣内にはデーデルライン桿菌(かんきん)という、膣内を酸性に保って細菌感染を防ぐ自浄作用を担う菌がいます。この自浄作用を保つためにも、デリケートゾーンは酸性に保たれていることが大切です。しかし、ボディソープはアルカリ性のものが多いため、酸性を保ちたいデリケートゾーンには逆効果。アルカリ性でゴシゴシと洗いすぎてしまうと、膣内の自浄作用が弱まってトラブルを招きがちなので、デリケートゾーンは弱酸性のもので洗いましょう。最近では専用のソープも販売されていますよ。また、ナイロンなどの硬いタオルでゴシゴシと強く洗うのはNG。手でやさしく洗いましょう」
「生理中は特に蒸れやすいので、体に触れるものは通気性に優れたものを着用しましょう。下着はシルクやコットンに。ボトムスはタイトジーンズのように体を締め付けるものは避けて、通気性のよいスカートかゆったりとしたパンツで。また、ナプキンを長時間交換しないと、雑菌が繁殖しやすくなりますから、量に関わらずこまめに替えるようにしてください」
「清潔に保とうとウォシュレットを多用するのはよくありません。水は中性ですから、酸性に保たれているデリケートゾーンの環境が変わってしまいます。また、ウォシュレットの水が温かいと、デリケートゾーンが乾燥しやすくなります。また、使用頻度は1日2~3回が適切です」
「アンダーヘアは蒸れを招く原因になりますが、一方で外部の細菌から膣内を守るという大切な役割も持っています。ですから、処理のしすぎはNG。下着からはみ出ない程度までを目安にし、膣周辺は適度に残しましょう」
ケアをしてもニオイが取れなかったり、かゆみが続いたりした場合は、やはり病院へ行くべきでしょうか?
「かゆみがひどい場合は、すぐに病院へ行きましょう。また、こうした異変にはおりものにも変化が現れることが少なくありません。おりものの状態は、月経周期によって変化しますが、普段と明らかに違うときは要注意。ほかにも、おりものから魚の腐ったようなニオイがしたり、カッテージチーズのようなポロポロしたものに変わったりという異変があれば、『細菌性腟炎』や『カンジダ膣炎』の疑いもあります。我慢せず、すぐに病院へ行って、適切な治療をしてもらいましょう」
こうした変化に早く気づくためにも、普段から自分の体はきちんと観察しておくことが大切ですね。デリケートゾーンのトラブルを未然に防ぐために、過度な蒸れや乾燥を避け、正しい方法でしっかりケアを行いましょう。
広島大学医学部卒業、同産婦人科学教室入局。2010年、婦人科・エイジングケア専門の成城松村クリニックを開院。西洋医学の枠にとらわれず、漢方などの東洋医学や、点滴療法、オゾン療法などさまざまな領域を取り入れた女性のためのトータルサポートを行っている。
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