おなかが張る、ポッコリと出る…。食生活の欧米化に伴って、便秘に悩む女性は増加しているともいわれています。よく「便秘には食物繊維を摂取するのがよい」と耳にしますが、実はその食物繊維にも2つの種類があるのだとか。
そこで今回は、管理栄養士の北嶋佳奈さんに、2種類の食物繊維の違いと役割、摂取する際のポイントについてお話を伺いました。
「食物繊維とは、体内の消化酵素で分解されない成分のことです。消化されずに小腸・大腸を通過しながら腸を刺激したり、水分を含んで便を柔らかくしたりする働きがあります。また、腸内に存在する善玉菌のエサとなって、腸内環境を整えてくれるんですよ」
「食物繊維には、『不溶性食物繊維』と『水溶性食物繊維』の2種類があります。それぞれの特徴を以下に挙げてみましょう」
その名のとおり、水に溶けない食物繊維のこと。胃や腸で水分を吸収し、大きく膨らんで腸内を刺激して便通を促進する。大豆やごぼう、玄米などに多く含まれる。
水に溶けると粘性を示すという特徴がある。水分保持力が高く、便を柔らかくする働きを持つほか、腸内で善玉菌のエサとなって腸内環境を整える効果も。アボカドや海藻、きのこといった食材が豊富に含んでいる。
「不溶性食物繊維ばかりを摂っていると、便が硬くなっておなかが張るなど、便秘がさらに悪化してしまうこともあります。反対に、水溶性食物繊維の摂りすぎは下痢を引き起こす原因にも。どちらもバランスよく摂取することが大切なのです」
不溶性と水溶性という2種類の食物繊維の特徴と働きは理解できました。日々の食生活で摂取するとき、気をつけるべきポイントはありますか?
「実際に摂取するときは、不溶性2:水溶性1の割合が理想的です。厚生労働省が定めた成人女性の1日あたりの食物繊維摂取目標量は18グラム以上なので、不溶性約12グラム、水溶性約6グラムを目安にするといいでしょう。たとえば、アボカドは100グラムあたり水溶性1.7グラム、不溶性3.6グラムと、2種類の食物繊維を非常にバランスよく摂取できるんです」
摂取バランスを意識しながらの食事が大切なのはわかりますが、日々の食事の中で食品ごとの量まで把握するのはなかなか難しそうですね…。
「文部科学省が発表している『食品成分データベース』※を参考にしてみてください。サイトに食品名を入れて検索すると、不溶性や水溶性といった成分量を簡単にチェックすることができますよ」
2つの食物繊維をバランスよく摂取することが便秘解消への第一歩! 毎日の食事に意識的に取り入れていきましょう。
※このデータベースは、文部科学省が開発したものであり、
大学卒業後、フードコーディネーターアシスタントや飲食店勤務後、独立。
美容・ダイエット・健康に関する料理本の出版、雑誌でのレシピ開発やコラム執筆、ラジオ・テレビ・イベントへの出演などで活動中。
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