近年、栄養や美容の面から、改めて和食や“だし”の価値が見直されてきています。たとえば、かつおから取られているだしであれば、たんぱく質やビタミンB群、リンなどの栄養素が豊富です。特にビタミンB群が豊富なことから、美肌効果や抗ストレス効果、動脈硬化を予防するといわれています。
しかし、「健康のためにも自宅で和食を食べたいけれど、わざわざだしを取るのは面倒…」と、思っている人も多いのでは?
「和食というと“だし汁”のイメージが強く、どうしてもかつお節や煮干し、昆布を用意して本格的に煮出さなければと思う方が多いようですね。でも、簡単にだしを取る方法があるんですよ」
こう教えてくれたのは、フードエディターで料理研究家の八代恵美子さん。いったいどのような方法なのでしょうか?
「用意するのは、かつお節や煮干しが粉砕されてパッケージされている市販の『だしパック』です。できれば添加物が使われていない、国産のものを選びましょう」
今回は、このだしパックを使った、簡単で本格的なだしの取り方を教えていただきました。
この方法なら、出勤前にお湯に放り込んでおくだけで、帰宅したときには本格的なだし汁が完成! お鍋を洗う必要もないので、煮出すのが面倒なときにも便利ですね。このまま2日ほど冷蔵保存が可能です。煮物やおみそ汁のベースにしたり、数分でできる栄養豊富なスープにアレンジしたりしても◎。
八代さんによれば、だしパックの粉末の粗さは製品によって違いがあるそう。口に当たるほどゴツゴツしたタイプであれば、こしてから使いましょう。
「一般的に、ストックするなら粗熱が取れたら一旦冷蔵庫に入れますが、『茅乃舎(かやのや)だし』のような細かな粉末だしなら、お湯を注いでそのままおいしく飲めますよ。ただし、顆粒だしは別。塩分も多いので使う量に気をつけましょう」
さらに、先ほどのだし汁を使って簡単に作れるレシピも教えてもらいました。
【作り方】
「マグカップにとろろ昆布と梅ぼしを入れてだしを注ぎ、レンジで加熱すればより簡単に作れます。または、カップに具材を入れて温めておいただしを注いでもOK。お鍋を洗う手間もカットできますよ」
だし汁の作り置きさえあれば、疲れて遅めの帰宅だったときやバタバタと慌ただしい朝でもちょっとした一品が作れそうですね。
「夜中に帰ってきて『これからしっかり食事をするにはちょっと…』というときも、だしは大活躍! 冷蔵庫にだし汁のストックを常備しておけば、サッと温めるだけで簡単でヘルシーな夜食になりますよ。和食だからと力を入れすぎず、まずはできるところから、だしを活用した食生活に親しんでみてくださいね」
冷蔵庫におだしがある生活に慣れてきたら、次はいろいろな野菜などを漬けた「だしマリネ」を作るのがオススメだそう。さっそくおだしを常備して、豊かな食生活の第一歩を踏み出してみませんか?
女性誌や実用書などで長年編集者として活動。2004年、生活情報誌『Mart』の創刊に編集スタッフとして携わり、主婦目線を加えたライフスタイルを提案し、数々の特集をヒットさせる。一方で、料理のムック本で料理やテーブルのコーディネートを行い、フードコーディネーターとして活躍。食品メーカーやカフェなどのコンサルタントも手がける。近著に『極旨!ごちそう「だし」ごはん』(主婦と生活社)がある。