秋野菜がおいしい季節です。秋野菜をたっぷり食べつくしたいと思っても、野菜は鮮度が命。毎日少しずつ買い足して、こまめに料理するのは大変ですよね!
そんなとき、覚えておくと心強いのが、まとめて作っておける作り置きおかず。料理時間が短縮できる上に、アレンジして使えば料理のバリエーションも広がります。そんな作り置きレシピを、料理家の伊藤朗子さんに教えてもらいました。
そもそも、どんな野菜でも作り置きをすることは可能なのでしょうか? 野菜によって向き・不向きがありそうな…。
「作り置きに向いているのは、きのこ類や、にんじん、ごぼう、れんこんなどの根菜類など、水分が少なく、煮くずれしにくい、歯ごたえがよい食材です。そのなかでも私は、日常的に食べたほうがいいのはわかっていても調理が面倒なものや、一度にたくさんは食べられず小分けにして食べたい料理などを選んで、作り置きにしています」
薬膳料理にも詳しい伊藤さん曰く、「秋は空気が乾燥してくるため、豆腐、れんこん、長いも、大根など体を潤す白い食材を摂るといい」のだとか。また、鼻や喉などの粘膜を養う作用を持つ黄色い食材(さつまいも、かぼちゃなど)も良いそうです。
今回は、白い野菜であるれんこん、黄色い食材のさつまいも、そして水分の少ないきのこを使い、それぞれ作り置き可能なレシピを、保存方法とあわせて教えてもらいました! 長いもので10日間も保存できるので、お弁当の具材にも便利ですね。
「このレシピはれんこんのシャキシャキとした歯ざわりを活かします。香味野菜などで簡単にアレンジできる、使いやすい作り置きです。薬膳では、酸っぱいものは体を収斂し、毛穴などをキュッと引き締めると考えられています。それによって余計な汗をかかないようにし、体内の水分を保つイメージです。空気も体も乾燥する秋にもぴったり!」
【材料】(作りやすい分量)
●れんこん…200g
<甘酢の材料>
●酢…大さじ4
●砂糖(てん菜糖、または三温糖)…大さじ1と1/2
●塩…小さじ1/4
【作り方】
※清潔な保存容器に入れ、冷蔵庫で約10日間保存できます。容器には甘酢も一緒に入れましょう。
※浸け酢が少ないので、れんこんに密着させるように落としラップをしてから蓋をして保存するとよいです。
「粘膜を潤す黄色い食材・さつまいもと、身体を潤すハチミツを合わせた、うるうるの副菜。おやつやお弁当にもあると便利です」
【材料】(作りやすい分量)
●さつまいも…1本(約200g)
●杏(ドライ)…8個
●はちみつ…大さじ1と1/2
【作り方】
※清潔な保存容器に入れ、冷めたら冷蔵庫へ。4〜5日保存できます。容器には煮汁も一緒に入れましょう。
「身体が乾燥しがちな季節は、便秘になりやすいので食物繊維を。薬膳からみると、きのこは気を充実させてくれるので、夏の疲れがとれにくいような時期におすすめ。このまま食べることもできますが、ごはんにのせたり、大根おろしに添えたり、ゆでた青菜とあえたりと、便利に使えます」
【材料】(作りやすい分量)
しめじ、えのき、エリンギなど(好みのきのこを合わせて)…400g
酒…大さじ3
酢…大さじ1
しょうゆ…大さじ3
【作り方】
※清潔な保存容器に入れ、冷めたら冷蔵庫へ。10日間ほど保存できます。
仕事に家事にプライベートにと、何かと忙しい毎日も、作り置きおかずがあれば安心です。時間があるときにまとめて作って、秋の味覚を存分に楽しみましょう。
野菜ソムリエ、中国山東省認定二級厨師、「i's kitchen」主宰。料理本専門の編集プロダクションで料理ムック等の編集やフードスタイリングに携わる傍ら、中国山東省の伝統料理“魯菜”、魚を中心とした日本料理を学ぶ。2010年より「やさしい味の飽きない料理」を信条に、雑誌『レタスクラブ』『きょうの料理ビギナーズ』『栄養と料理』『3分クッキング』『dancyu』等へのレシピ提案などを多数手がける。「おうちの台所で手軽に作る中国料理」をテーマにした料理教室も主催。
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